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雇用と福祉の連携
厚労省の雇用と福祉が連携して障害者の就労を支援する取り組みについて報告書がHPに掲載されています。障害者の就労を支援する制度は2つあり、主たるものは障害者総合支援法の福祉サービス事業であり、もう一つは障害者雇用促進法で企業の障害者雇用率の促進事業になります。以前に厚生省と労働省が合併して厚生労働省ができましたが、両方の制度が現在もそのまま存在しています。
福祉の現場ではこの連携は好評なのですが、なぜ、連携するようになったのかを推測しますと、①予算の効率的な活用があります。従来の縦割り行政だと重複する施策があり、連携することで無駄を排する利点があります。例えば、企業が障害者雇用をする際に、特定求職者雇用開発助成金や障害者を雇用している企業には雇用調整金が労働局から支払われます。一方、障害者福祉サービス制度には就労継続支援A型事業(A型事業)がありますが、これは雇用契約をした利用者が施設を利用した日数で国保連から支援金が支払われます。その趣旨は一般的に障害者をすぐに雇用しても戦力にならないので、未戦力分を一定期間補填する意図があります。また福祉サービス制度のA型事業は、障害者が事前に就職する準備が必要と判断して、その間の訓練を無料または1割負担で利用できる制度になっています。今後連携が進むことでこれらの重複している予算を精査して、再検討されることが期待できます。
②時代に適した障害者の就労支援と雇用環境を充実させることがあります。近年、SDGsやESG概念でWell-beingが提唱され、従来の企業都合で雇用する傾向が、労働者の働く意識や希望などを考慮した契約や環境整備が進められるようになり、労使が連携して企業風土の改善に取り組む機運が高まってきたと思います。それを考慮すると、企業の障害者雇用は、従来の生産性重視の企業価値から労働者と良い関係を構築することがそれを達成するためには必要であるとの認識になったと思えます。障害者の雇用は多様な考えや思いを持つ人たちが働き始めるので、一面的な価値による命令だけの組織は機能しなくなり、新たなマネジメント手法の構築が必要になってきました。
雇用と福祉の連携は、雇用に新たに福祉の概念や手法を組み入れることの始まりになります。福祉は他人を尊重し、相互に理解し、お互いさまの思いで物事に対応することを大切にしてます。競争だけでなく組織内での健全な努力が評価される傾向が現れてきたと感じています。