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障害者雇用の水増し問題その2
厚労省は、中央省庁による障害者雇用の水増し問題で国の33の行政機関のうち、障害者手帳などの証明書類を確認していない職員を雇用率に算入していたのは、6月時点で27機関の計3,460人になるとの調査結果を公表しました。雇用していたとする障害者約6,900人のうち、不当な算入は半数に上り、この結果、平均雇用率は当初の2.49%から1.19%になり、法定雇用率2.5%を大きく下回ることになりました。
厚労省のガイドラインによると、雇用率に算入できるのは障害者手帳を持っている人か、医師の診断書で障害が認められた人に限られるとなっています。しかし、国土交通省や総務省などで、手帳を取得していなくても程度の軽い障害のある職員も合算することが常態化していたようです。気象庁関係者は「制度に対する認識不足があった」ことが要因と述べていますが真実はわかりません。
中央省庁の騒動が飛び火して奈良県でも水増し行為が行われていたことが報道されました。奈良県の教育委員会及び教職員課によると、県教育委員会は当初128人を障害者として算入していましたが、障害者手帳の所持が確認できたのは8月29日時点で128人中74人であり、35人は手帳を所持せず、3人は障害等級などが対象外であり、16人は所持が確認できていないことが判明しました。そのために教育委員会の障害者雇用率は2.43%が1.53%に下がることになり、法定雇用率の2.4%を大きく下回ることになりました。また、県人事課によると、知事部局では障害者手帳の所持が確認できたのは66人中59人となり雇用率は2.71%になったとのことです。
奈良県は2年連続で障害者雇用率が全国1位になり奈良県が全国に誇れる数少ない実績になります。これは企業や行政及び福祉関係者等が協力しこの目標を達成してきたのですが、肝心の旗振り役の奈良県及び教育委員会が大きな失態を行ったことになりました。奈良県は従業員が50人以上の企業は580社余りと少なく、一部上場企業も1社しかない地域であり、それでも企業が熱心に障害者雇用に取り組んできた努力と姿勢を行政は見習う必要があります。
障害者は社会的弱者であり、障害によっては一般の方と同等の業務を担うことができないこともありますが、それでも適切な職場への配置や業務の切り出しなどで彼らの能力を十分に生かすことができます。これを機会に“障害者も働くことができる、彼らも戦力である”との理解と認識を持っていただけることを期待しています。