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障害と進学
毎年、独立行政法人日本学生支援機構が全国の大学、大学院及び短期大学を対象に障害のあり学生の実態調査をしています。 平成18年は障害のある学生数が4,937人でしたが、令和4年は49,672人になり、この 15 年で約10倍に増加しています。学生の障害種別の割合では、視覚、聴覚・言語、及び 肢体不自由等の身体障害者数は毎年一定数でそれほど増えていませんが、病弱者、発達障害者、精神障害者は急激に増えています。 国公立大学では障害等の学生を支援する部署の設置が義務づけられていますので、専門家で組織する委員会があり、また専門相談ができる相談室も準備されています。学生からの相談や支援の申し出や問い合わせに的確な支援がされる体制の整備が進んでいます。また近年、私立大学でも専門部署の設置が義務づけられ同様の体制の整備が進められています。 対策としても、障害種別の割合にありますように、調査を開始した当初は身体障害者が大半でしたので、主に学内施設のバリアフリー化やエレベータの設置などハード面の対応が進められました。今日では、精神障害者等が増えましたので、それに適した専門相談室が設置され、公認心理師や社会福祉士など資格を有するコーディネーターやカウンセラーによって各種の相談にも対応できるようになっています。 学生からの主な相談として、修学面では、大人数の教室での授業に参加することが難しいこと、ノートテイクに課題があること、教室の音に違和感があること、また友人との会話や学食での対応などがあります。また生活面ではアルバイトの探し方や対応、部屋の掃除やゴミの出し方、隣人との関係性なども相談事項になります。学年によってもそれぞれの課題があり、3年になるとゼミの対応や学友との話題や付き合い方、学問の理解の遅れなどがあり、4年生では就職活動や教育実習等の参加で、新たな環境での対応が難しくなることも生じています。 一方、多くの大学では障害のある学生を支援する学生ボランティアサークルもあり、日常的な相談や支援、ノートテイクや教室の移動及び授業の協力など、学内で自主的なサポートも行われています。また特別支援学校の生徒も、大学側が受験から学内生活に至るまで一定の配慮と支援を準備されたことで、進学を希望する方が増えています。障害があるから進学を躊躇する、障害があるから高校を卒業したら就職を目指す、このような風潮が少なくなり、多くの方が進学に挑戦する機会を、平等に得ることができることを期待します。