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自己判断と申請

昨今、高齢者の交通事故が多発しているとの報道があります。保育園の子どもや家族が犠牲になることはとても痛ましく、ニュースを直視できないこともあります。事故後に高齢運転者が、アクセルとブレーキの踏み間違いや気が動転して正常な判断ができなかったと弁解されています。私も古希を過ぎましたので、運転の精度は同乗する妻によりますと以前よりも荒くなったとのことです。細心の注意で安全運転を心がけていますが、それでも心身の能力低下を感じています。

この報道が各地で高齢者が運転免許を返納する動機付けになっています。これは本人からの申請によりますが、犠牲者のお気持ちを考えると、それだけではなく、安全装置の開発や生活インフラの検討と共に運転能力を厳格に判断する必要性を感じています。

障害者手帳の交付も自己申請になっています。3種類の手帳がありますが、どれも医師や専門機関の診断書や意見書と本人の申請書を添えて、市町村の障害福祉担当課に提出する必要があります。申請して障害者手帳の交付を受ければ、障害者として多くの社会保障制度の支援を受けることができます。

申請の可否や時期については判断が難しい課題もあります。障害には先天性のものと後天性のものがあり、先天性の障害は幼児期に障害認定されますので、家族の方が関係機関に手帳の交付を申請することになります。また後天性の障害は、本人が交付申請をするかどうかを判断することになります。この制度はあくまでも申請方式なので、本人や家族が申請しなければ障害者認定されないことになります。

手帳の申請に付随する支援制度についても同様にすべて申請方式になっています。例えば、NHK受信料の免除、高速道路の通行料、長距離移動の運賃、美術館等の入館料、福祉サービスの利用等も申請すれば、障害種別や程度によって給付や利用ができるかどうかを判断してくれます。これらは障害者も社会の一員として健全な生活を送ることができるための支援策になります。

一方、障害者手帳の交付や各種支援を申請しない方もまだまだたくさんおられます。お聞きすると、「障害者」に認定されたくない、また認定されることで社会の対応が変わることを危惧するとのことです。また手帳は取得しているけれども、社会を意識して支援策を申請していない方もおられます。障害者福祉サービスの利用でも、福祉施設を利用することを懸念して、障害のない方が利用する機関に相談される方もおられます。

すべては本人の判断によるものですが、福祉の役割として、社会を意識しなくてもよい、ユニバーサルな生き方や判断が自然にできるようにしていきたいものです。

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