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福祉施設の魅力 その7

 日本には各地につむぎの産地があります、まゆから真綿を作り出すためには、気の遠くなるような細かな手間仕事があります。近代化とともに、桑農家も養蚕者も少なくなってきました。生産性や機械化の潮流に合わせて、ポリエステルなどの人工繊維が主流になっています。大量製造、廉価での販売の時代になり、いつのまにか“手間仕事”が効率の悪い産業になってしまいました。それでも各地には、隙間の産業分野には、この手間仕事で作られる品物を必要とする人たちが残ってくれています。ニッチな分野が人々の生活の一部として残り、新たに生まれてきています。
 ぷろぼのには、「福祉3R事業」として、中古パソコンのメンテナンスやリサイクル事業があります。廃棄処分される中古パソコンのリサイクルとともに、そこから取り出したメモリーやCPUが新たに再生されています。廃棄物処理をしている工場でこれらを取り出すには、手間仕事が必要になります。希少金属として再利用するために分別する工程と共に、パーツだけを傷つけないで取り出す工程があります。この作業には、時間と根気が必要になります。これが産業廃棄の工程の手間仕事になります。
 分別されたメモリーやCPUを新たに製品として価値を取り戻すためには、新たな手間仕事が必要になります。一個、一個、容量を確認しながら価値のあるものだけを丁寧に分別します。次にこれらの動作確認をします。専用に作られた検査機器に、一個、一個装着して、一定時間の動作テストを繰り返します。快適に動作することが価値ある製品になるための条件なのです。
 さらに、パーツに記載されているメーカー名、品番、容量を確認し記録していきます。ここまでの工程で廃棄されそうになっていたパーツがようやく製品に戻ることになります。価値ある商品になるには、ここからYahooオークションサイトに、一品、一品登録する手順があります。そこに買い手がついて、支払いがあって、品物を梱包してお送りし、お客様からOKの返事を頂いてやっと「価値ある商品」になるのです。
 廃棄処理寸前のPCが再生されるまでに、これだけの工程を経ることになります。この間に多くの人の手が関わることになります。これが福祉の施設の手間仕事なのです。それだけに国内の民間企業がなかなか手を出さない分野なのかもしれません。それでも多くの企業の方の協力を得て、福祉施設の手間仕事の一例が完成間近になっています。ありがたいことです。これからも福祉施設の魅力である手間仕事を大切にして障がい者の働くばづくりに取り組んでいきます。

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