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福祉施設の魅力 その6
今日は10月15日、ようやく長い夏が過ぎて秋を感じる気温になりました。今年は短い秋なのでしょうか、すぐに冬の寒さに備える準備が必要になりそうです。ぷろぼのは今日から2週間遅れの衣替えになります。私は相変わらず無頓着にいつものように半袖でやって来ました。雨のせいでしょうか少し肌寒く感じています。それでも訓練の現場は熱気があり、触発されていつもよりも元気が出ています。
訓練の目的は「就職」です、希望に沿った会社で力いっぱい働くことなのです。例年秋のこの時期に奈良県内で就職相談会が実施されます。どの会場も20社ほどがブースを開かれます。事前の募集要項を拝見させていただくと、時代の流れなのでしょうか、奈良県内では製造業が一段と少なくなり、倉庫・配送関係やサービス業が増えてきています。訓練生にとってはこれから就職活動が活発になりますので、是非思いに近い会社が見つかることを期待しています。
近年、働く現場が変わってきた印象があります。日々の仕事について、目的は、自分の役割は、どれほどの貢献をしているのか、がわかりにくくなったと感じています。製造業が主流の時代の「働く」は、会社名に電気、鉄鋼、自動車、量販店、デパートなどの名称がついていました。しかしいつの間にか業務が拡大し、多様化する過程で業種を示す「名称」がなくなってきました。懐かしいオートメーション工程で作業をされていた現場の方も、自分がなにを作っているか、どの部品を作っているかが分かりました。自分が働いている会社の「本業」はなにか、自分が担当している仕事はどのような意味があるのか、わかって働いていました。
まだ自動車や建築、家電など製造業はいくらかイメージが掴めますが、サービス業、特にITシステム開発などになると、いったい何をしているか、完成品はどのようなものか、わからない場合が多いのではないでしょうか。仕様書に従って決められたパートの処理ルーティンをただ黙々とプログラミングするだけになります。不思議な事ですが全体像は管理者しかわからないのです。
人が働くためには、“目的と達成感”が必要です。ロボットとの違いは、自分が業務の必要性、仕事の成果を知り、なにかしら会社や社会のためになることが求められるのです。決められたパートを期限内に正確にするだけでは、達成感を得ることはできないのです。
最近、農業を志す若者が増えてきました。その理由の一つに、自分が関わる仕事の全体像が明確にわかる点だと言われています。季節に従って畑の開墾から播種、手入れ、収穫など・・の日々の仕事ルーティンがはっきりしていることです。自分の役割と責任が明確なのです。科学技術が進歩していますが、その一方で自然100%の農業を志す若者が増えている、・・不思議な対比が見えています。
福祉施設は、働くための技術とともに、人として自然とともに生きることもお伝えしています。季節の移り変わりの時期に、秋を感じる気持ちを育みたいものです。