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福祉事業の基本について
来年8月から現行の障害者自立支援法から総合福祉法に代わることがすでに発表されている。名称の違いはあるが、どちらも基本理念は障害者の自立である。福祉事業はその法律で規定されている内容の福祉サービスを的確に実施するためのものである。その事業を通じて、障害者の地域自立を支援し、ひいては地域自立に繋がるようにするためのものである。そのために制度で定めている事業規約があり、そこに従業員の人数や施設の要件が求められる。また提供する支援プログラムも福祉サービスの目的別に用意する必要がある。
福祉事業は受け入れる利用者の数(定員)で規模が決められている。私どもが行っている就労移行支援事業は、定員20名に対して、従業員数は約5.5人以上となっている。施設の広さや設備も定められている。就労移行支援事業は、障害者が一般企業へ就職するための支援が目的である。支援プログラムも、働くための生活面、社会面、技能面など多岐にわたるものを準備する必要がある。
それを実現するために「組織」をつくることになる。従業員は管理者と現場指導者で構成される。この体系は民間企業と同様である。法人の理念や目的を定め、働く人たちの目標を確認し、職場環境を整備し、快適なはたらきを実現するための組織を構築する。当然、管理者にはマネージメント機能が求められ、現場指導者は支援をするための多面的なテクニックが必要となる。OJTやOFFJTなども求められる。
福祉事業の組織化に不可欠な要素は、日々の利用者の状況把握である。体調面、障害面、生活リズムや原因、悩みや夢などなど多岐にわたる。全従業員がこれらすべての情報を毎日共有する必要がある。また福祉専門の用語や表現なども定義し、規定することも求められる。印象を具体化して伝えることは大変難しいことでもある。これらを日々スムーズに理解して、事業を運営していくために「組織」が必要になる。
今までの福祉の施設は往々に設立者の思いとボランティア的な奉仕の気持ちがあり、「組織論」については大きく立ち遅れている。施設長の肩書の方にマネージメントや情報の共有化などの話題を向けても、反応はほぼない。現場にはいろいろなな課題や設立の経緯があるので、一概に正否は判断できないが、制度で定められている業務を実現できる程度の、組織的な準備はする必要があると思っている。