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福祉よもやま話

先日、ある企業の方から作業の依頼があり、内容は装飾品の組み組み立てです、いくつかのパーツがありそれをマニュアルを見て仕上げる仕事です。特に専門性は必要なく簡単な作業です。数量は毎月相当数あり請負を希望されていました。私がその組み立て作業をしてみると、1個10分ほどで出来上がります。一時間で6個できる計算になり、価格をお聞きしてみると1個当たり50円とのこと、一時間で6個×50円で300円の収入になります。

先日、奈良労働局から通知があり奈良県の最低賃金が10月1日から786円になったとのことです。このところ定期的に最低賃金が上がります、ちなみに大阪府は883円とのことです。約100円奈良が低くなっています。

社会福祉法人ぷろぼのは、この件を事前に聞いていましたので、就労継続A型事業で働く方たち(A型職員)には、この春から準備を進めていました。A型職員は雇用契約をしていますので、週20時間以上の勤務と最低賃金以上の支払いが条件になっています。福祉的な支援を受けて通常業務を担当することになっています。そのために一定期間働くための訓練を受けて準備をしています。

さて、上記の時間当たり300円の作業依頼ですが、最低賃金を考慮するとこの業務を受けることはできない結論になります。障害者が働く福祉事業所であっても、通常の能力の方が頑張って作業をしても、最低賃金以上の生産性をあげることができない業務は受託してはいけないことになります。

先日、ある福祉関係の会に参加しました、発表者が、自社では100円ショップの仕事を請けて障害者は生き生きと働いていて、定期的に100円ショップを訪問し、その製品が陳列されていることを確認して、“自分たちも社会の役にたっている”と喜び、モチベーションを高めて頑張ってくれるようになったとの内容でした、ちなみに給与は月に15,000円ほどとのことです。この発表を聞きながら、福祉で働く職員も立場を逆にして、100円ショップの製品つくりをして、店を見学して、月給15000円の待遇になったときに、障害者と同様に“自分たちも社会の役にたっている”と喜ぶことができるでしょうか。

福祉の事業所には国が税金を使って、障害者支援の給付金が支給されます、それが職員の給与になりますが、本来は利用されている障害者に相応の福祉的な支援をして、成果をあげることができて初めていただけるものなのですが、福祉の現場はそのようにはなっていないのです。

確かに障害の程度によっては最低賃金以上の生産力を習得してもらう取り組みは大変ですが、それでもそれが障害福祉で働く職員の使命なのです、それが「福祉」のプライドなのです、これからも目標に向かって頑張りますのでご協力をお願いいたします。

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