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福祉の役割
今年最後のブログになりました、月に2回のペースでブログを書かせていただいて、早いものでもう6年になりました。この間にも障害者の就労支援は大きく変わりました。以前はまだ“障害者を働かせるのはかわいそう・・”などの意見もありましたが、最近では、障害者も就職して企業の戦力になって活躍することが当然のようになりました。“できない”と決めつけるのではなく、できることを見つけ出し、繰り返し取り組み、また冶具などの工夫をすることで容易に仕事を担うことができるようになりました。
3年前には障害者差別解消法が制定されて、地域や職場でも障害者に配慮した設備やサービスが準備されるようになりました。これにより多くの働く障害者が恩恵をうけることができ、あきらめていた“普通に生きること”を実践されている方も増えてきました。
そのようなときに、中央官庁で障害者雇用数の水増しが発表になり、第三者委員会の調査結果では、恣意的な行為と断定されました。奈良県でも同じようなことがありましたが、これからは、採用についても、また職場環境においても合理的な配慮がなされることを期待したいものです。
障害者雇用促進法で企業や団体は障害者を一定の割合で雇用することが義務付けられています。民間企業は総従業員数に対して、2.2%とされています。奈良県は2年連続で障害者雇用率が全国一位になりましたが、それでもいくつかの課題は残りました。
特に養護学校の卒業生の就職についてですが、就職することは良いことなのですが、18歳の障害のある若者がいきなり洗練された企業に採用され、新たな職場になじみ、業務を理解し、日々ルールに従って働くことがはたして可能かどうかです。さらに本来であれば就職後、長期に福祉支援が必要なのですが、制度の問題なのですが、福祉サービス制度を利用していない方は、その後の定着支援制度を受けることができなくなっています。無事に職場で継続して働いてくれることを期待するのですが、それでも早期に退職された方は、自己申告しなければ、養護学校の進路支援からも就業生活支援センターからもサポートを受けることができない仕組みになっています。障害のない方の8割以上が大学及び専門学校に進学しているのに、なぜか養護学校の高等部の卒業生には就職を進めるケースが増えているのか疑問も残ります。教育と福祉の連携ができれば、就職前でもまた就職後でも福祉支援を受けることができるので、安心して働くことができるようになります。
また、ハローワークから直接就職される方も同様に福祉の支援を受けることができなくなります。障害のない方が社会人として自己責任で働き暮らしているのですから、障害があっても自己責任で生きることに支障はないのですが、将来を想定してもう少し社会資源である福祉を有効に活用することも考慮されることを願います。
今年もブログをお読みいただき感謝いたします。暮れからお正月と寒さが続きますのでお体に気を付けてお過ごしください、ありがとうございました。