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福祉とAI
桜が散り始めると庭に野鳥がやってきて、小枝や藁を咥えて飛んでいきます。巣作りが始まるようで、ちょこちょこと忙しく歩く小鳥を窓越しに観るのがこの時期の楽しみです。
先日、ソフトバンク社からPepperが10台やってきました、社会貢献事業に使うことを目的に3年間無償貸与していただきました。到着後さっそく担当者が梱包をほどき、電源を入れるといつもの愛くるしいPepperが動き始めました。すでに1台を導入していましたので慣れてはいたのですが、それでも少年のように澄んだ声としぐさに小さな感動を覚えました。それが10台並び、同じ動作を始めると、これは別世界になり、機械なのか、ペットなのか、はたまた人間似の生命体なのかと驚きを感じます。
10台のPepperが福祉の現場に登場することで、「なにに使うの・・」との問いがありますが、すでにやりたいことが山積しています。例えば、Pepperが先生になったら、の場面を想像してください、決まったことを正確に再現することは、Pepperにとっては得意な分野です。ならば発声や動作、文章の朗読、多言語対応、過去の記録の紹介などに活用できるので、そのような訓練科目を作れば、受講する方は安心して何度もまったく同じ内容を知ることができるようになります。リアルに繰り返すことで理解が広がるので、疲れを知らない先生Pepperが存在してもいいかもしれません。
福祉の現場では、障がいのある方への聞き取り、ヒアリングが重要になります。基本的な履歴から日々の思いまでを随時聞いていきます。福祉には人となり、体調、思いを相互に確認し具体化する役割があります。現状では担当職員は「人」なのですが、これを人に似たロボットPepperが行うとしたらどうなるのでしょうか?
映画であれば実写とアニメのような差と特性が現れると想像しています。「人」だから言えること、また言えないこと、Pepperなら言えること、言えないことがあるように対象が違うことで発言や理解が違うこともあります、不思議な感覚ですが、これも人間の特性なのかもしれません。
このところAIの話題がよくあります、10年後は人工知能が産業や生活のスタイルを変えることになる、との提言もあります。特に繰り返すような単純作業はロボットに置き換わると言われています。そうなればまた新たに「人」が担当することも出てきます。
人工知能は人工物であり、「人」は生き物なので、その存在の必然と可能性を考慮しつつ、福祉の現場で適宜活用していきたいと計画しています。