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社会性と福祉

暑さが続く早朝に、まだまだ元気だと体に言い聞かせながら、秋野菜の畝づくりをし、滝のような汗に少し満足して草むらに腰かけると、赤とんぼが近づいてきて、奈良の秋を感じることができました。このところ若い人たちが土に触れ、自然に接することが少なくなり、昆虫が怖い、嫌いと言われるのですが、昆虫もよく見れば可愛いものです。多分、彼らからは人間が怖い存在になるのかもしれません。

新たに障害のある大学生について取り組みを始めました。大学生の2%以上に障害が見られるとの報告があり、文科省も3年前に全国の大学に障害のある学生に対する相談や支援を行う部門を作るように通知を出しました。奈良でも国公立、私立大学では、相談センターの開設が進んでいます。相談に来られる学生の傾向をお聞きすると、身体障害で車いすの方や難聴や視覚障害の方の報告とともに、精神疾患や発達障害など目に見えない障害の方も増えているとのことです。相談員が学生本人や家族からの相談に応じていますが、症状や思いが多様なので個別に細やかな伴走型の支援が求められるとのことです。

今の時代は、障害が疑われる学生でも、“大学生になれたので障害があるはずがない”との社会通念があるので、なかなか本人も家族も率直に障害を受け入れることができないのが現状です。相談に来られた方すべてに障害があるのではなく、一時的に症状がでることや思い過ごしのこともあるので、新入生で地方から来て生活環境が変わった方や就職活動を始める学年になって違和感を感じたときに、相談に行ってみるのも大切なことだと思います。支援内容は相談、障害の症状や程度診断、具体的な対処法の提示などになります。

大学生も成長の過程で個人差がでることは当然なのですが、誰もが自然に習得する「社会性」について、相当な差を感じることが多くなった印象を持っています。理由としては思春期に勉強中心の生活をすることで、対人性やマナー、会話力、他人を思いやる心などの成長の機会が少ないことも原因のようです。

核家族化や地域の絆が弱くなった現代において、社会人に必要な知識や技能を有用するためには、日常のちょっとしたことに気を配るなど、社会性を習得することの大切さを再認識する時期に来ているとともにそれを担う福祉の役割の大切さを痛感しています。

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