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無限の補助具

一般的に日常生活や就労にそのままでは困難さがある方が、補助的に活用するものを補助具としています。障害者や高齢者のように心身に課題のある方だけでなく、一般の方でも日々の活動に快適さやゆとりを得るために、電車や自動車等の移動手段を使いますが、これもは広い意味で補助具になります。例えば、障害者の領域では、視力が悪い方は眼鏡や白杖を、難聴の方は補聴器や音量増幅器を、発声障害の方は人工喉頭機器を、下肢障害の方は車椅子や松葉杖を使います。これらは障害者福祉支援制度により補助具の購入等に助成金が支給されます。精神疾患の方でも医師に処方される向精神薬に類する薬も、広い意味で精神を算定させるための補助的なものと考えられ、そのために自立支援医療に該当する治療については医療費の補助があります。 一方、障害以外の衣食住の分野でも補助的なものは多くあります。季節の寒暖差をしのぐために使う冷暖房機器や洋服類で補助的な機能を持っているものは、健康維持や快適さのために必要な補助具になります。農業や建設業及び介護の現場で力仕事をされている方にパワースーツが開発されましたが、これも作業を快適にするための補助具になります。 それではAI(人工知能)はどうなのでしょうか、昨年末に対話型AIのChatGTPや生成AIがリリースされました。これらはインターネット上にある情報から適切な文章を作成することや、多言語に翻訳できる機能も搭載されています。また各種アプリと組み合わせることで、物語を作成しイラストを加えて独自の絵本を制作することもできます。白紙の状態からAIと対話しながらタイトルやキャッチコピーを作成し、画像や説明文を加えて、自動プログラミングでホームページを制作することもできます。次第に多くの機能を搭載したAIはまるで「どらエモン」のように便利なロボットになり始めています。 知的な業務には、知的障害があり一定期間継続して生活や就労が難しい方は、この分野の業務を担うことができませんでした。漢字や数字の読み書きが苦手で長文の理解が難しく、要約文を作成するのが大変な方に、このAIが適切に補助してくれることで、彼らの業務領域が広がっています。さらにAutoGPTの自動機能を活用すれば、難しい課題もほぼ自動で効率よく対処できるようになります。 今後、開発が進み精度が向上して個別の機器やアプリと連動できるようになれば、多くの方の日常を快適にできるようになります。今の時代の「無限の補助具」は技術の進歩と並行して、社会的な環境整備がされることで、私たちは少しの努力で快適な生活や仕事をこなすことができるようになります。新しい技術を素直に受け入れることができる、大らかな心を持っていたいものです。

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