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新たな公共のはじまり

春色の季節になると、奈良に多くの方がやってきます。旅行で少しの時間を共有する方、学生生活をおくる方、仕事で住む方、定年で奈良に帰られる方など、これからの奈良は新しい顔、顔、顔が交差することになります。思いは其々違っていても奈良に共に住むのですから、奈良の地に親しみ、互いに交わる機会が沢山もてることを楽しみにしています。
私たちは、人々が交わる機会が多くあることを、「活発な社会」と呼んでいます。頑張っている方、バリバリ活躍されている方、そして社会的に弱者と呼ばれている方、どなたとでも交流して、よく話をし、互いに分かりあい、助け合うことで、社会が成り立ち、そこに「地域社会の輪」が生まれると考えています。
最近、新しい公共の仕組みづくりについて、地域社会を作るための議論や取り組みが盛んになってきています。この基本的な考えは「ソーシャル・インクルージョン(社会的な包摂)」です。地域社会の全ての人々が健康で文化的な生活が実現できるように、社会の一員として互いに包み合い、支え合う理念です。現代では主に地域型エコノミー(社会的起業)の概念を付加し、地域性や個々の特性を生かした事業型の包摂社会を目指したものとなっています。
今までは、ともすれば強者が成功者で、弱者が敗北者のような評価がされていますが、従来の「資本」=貨幣価値のみで評価するのではなくて、生き方や考え方などがどのくらい社会に貢献したか・・このような基準が称賛される時代になってきています。福祉分野で働く職員の賃金は高くありませんが、彼らの思いは、“少しでも困っている人の支援をしたい”、そして“自分の生き方も高めたい”であり、これは貨幣価値では判断できない、やりがいであり、思いなのです。
障害福祉の大きなテーマは、「障害者の地域自立」の支援です。障害者も地域社会の一員なので、社会で活躍する場、働く場が必要となります。そのために社会を構成する“教育・医療・企業”などと連携した取り組みを交えて、社会に生きる全ての人たちが協力し合し、貨幣価値だけが基準ではない、対価を期待するだけの仕事の場ではない、新しい公共の場を実現させたいと考えています。
これからは、“与えられることから、与え合うこと”の相互扶助が基本になります。

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