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奈良の町を元気にする主役

 24節季の啓蟄が来ると東大寺二月堂の修二会、お水取りである。この時期に春一番が吹き、心も気持ちも解放され前向きになる。桜の季節は卒業と入学、就職など人生の大きな転機、イベントが続く時期である。ぷろぼのでも多くの方が就職して、事業所を卒業していくことになる。幾度となくジョブガイダンスなどの訓練を受け、面接に臨み、なかなか結果が出なかった方も、また運よく1度のトライで就職が決まるものもいる。それだけにみんなの思いが表情に表れ、会うたびにみんなに“よかったね、よくがんばったね”と自然に労をねぎらう、祝いの言葉がでる。
 ふと、就労支援事業の本質を改めて問い直す時期でもある。障害者が仕事をすることはごく自然なことであるが、彼らを地域社会に送り出す真の意味や目的はなんであるかを考えてみる。地域社会を構成しているのは、「個人と法人」である。元来、人が集まり村や町ができ、いくつかの課題や出てくるときにそれを解決する手段として「法人」という団体組織を作った。これが企業の始まりである。資本主義が成長するにしたがって、いつのまにか「法人」の都合のみで、事業を行うようになってきた傾向がある。貨幣を求めることを主にして、本来あったであろう町の課題を解決したり、推進したりする目的が希少になった。
 最近、企業のCSR、社会貢献活動の話題をよく見かけるようになった。当初は寄付の強要(?)や地域社会に利益の還元をお願いする旨であった。しかしリーマンショックや円高、また悲惨な東日本大災害後には、法人と住民と地域社会が身近になった感がある。理由はいろいろあるけれども、なにか原点にあった大切なものをもう一度思い起こしている気がする。
 そのように空気が変わってきた奈良の町に、今年も卒業生を送り出す。以前は頑張れよ・・の祈るような思いであった。が、今は“奈良の町をもっと住みやすくする”ために、力を貸してほしい。仕事で頑張って、あなたたち若い力で町づくりをしてほしい、このような気持ちで送り出すようになった。
 すべての就労支援をしている事業所の真の目的は、一般企業に就職してもらうことだけではなく、エネルギーがあふれている若い彼らが、働くことで、奈良の町の主役になってくれることである。地域社会も継続的な「代謝」が必要であり、その役割の一端を担っているのが就労支援事業である。

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