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奈良の町づくりの一例
1月26日から2月5日まで奈良で障害者芸術祭HAPPY SPOT NARAを開催している。
近鉄奈良駅から東向き商店街、奈良町までのお店に障害者アーティストの作品が展示されている。飲食店や薬局、雑貨屋さんなどの店主が事前に作品をチョイスし、お店の雰囲気にあったものが展示されている。奈良の中心街がこの期間のみアーティスト村(?)になっている印象さえある。また奈良県文化会館では、障害者とプロのアーティストが共同で制作した作品が特別に展示されている。1月25日の夕方に前夜祭があったので覗いてみた。完成した作品が整然と展示されていることをイメージしていたが、そうではなく時間をかけ共同で制作していく経過が紹介されている。制作している部屋が再現されている、食器や食べ物が置かれ、真ん中には布団が敷かれていた。現実にこのような環境で作者が思い思いの表現をするために、葛藤した空気が感じられる。想像するに自由に動かない手足を使い、思いどうりの形にならない繰り返しをしながら、この作品にたどり着いたのだろう・・。そばにいたであろうプロのアーティストがその場面で感じたことがどのようなことなのかが知りたくなるような衝動にかられる。私が見る限り作品からはプロのアーティストの表現手法を感じることはない。
不思議な関係性がこの制作期間に湧き出していたような思いがした。
すべての作品に“不思議な空間”から放たれるエネルギーと心根を感じる。生き物としての人間がたぶん持っていると信じている「生命」なのかもしれない。自然が持つ幾何学模様の原点を魅せられた思いである。
前夜祭は1時間ほどで終わったが、文化会館から近鉄奈良駅までゆっくりと歩いて帰ってきた。冬の寒さが厳しいこの時期なのに、なんとなく心が温まるような気持ちでいた。以前に読んだ“人は成長の過程で知識を得る、これは生き物としての自然性と引き換えにしている・・”このような言葉が浮かんできた。
とりあえずよくわからないが、知識や経験というものに偏らない生き方をすることの大切さを再認識させられた。このようなテイストの作品がこの期間に各お店に飾られている。どのような方も気楽に自由に生きることができる町づくりには、決まりきった言葉を連呼するよりもこれらの作品を見てもらうことの効果と意義を感じている。これも町づくりのやり方なのだろう。