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奈良の優先調達制度のこれから
毎日、真夏のような日が続いています、ついつい冷たいものに手が伸びてしまいますが、まだ5月なので、真夏に向けて体調管理に気を付けていきたいものです。
さて、障害者の就労を支援する政策として、国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律「優先調達制度」が平成25年4月から施行されました。これは障害者就労施設等(以下、施設等)から、優先的に物品や役務等を調達することを定めています。その第1条の目的では、施設等の受注の機会を確保するために、施設等が供給する物品や役務等に対する需要の増進等を図り、施設等で就労する障害者の自立の促進に資するものとなっています。
これにより奈良県内の市町村や独立行政法人等は、公契約による物品や役務の入札について、施設等から相当程度を調達するように努めることとなります。また、施設等は、受注に対して単独で又は相互に連携、若しくは共同して、発注者に対し、物品や役務に関する準備や生産状況等の情報を提供するよう努めるとともに、たえず質の向上及び供給の円滑化に努めるものとなっています。
厚労省の資料によりますと、優先調達制度の方針の策定状況について、都道府県は100%達成であり、奈良県庁もすでにHPで平成27年度の方針を発表しています。それに対して、市区町村の方針の策定は、平成27年1月現在で、全国1,741市区町村の達成割合は78.5%となっています。奈良県の39市町村では、策定は18のみで46.2%しか達成できていません。ただ平成26年3月の県内の策定数は10市町村でしたので、少しですが推進の兆候がみえてきています。それでもこの達成率は、なんと北海道、沖縄に続いて全国ワースト3になっています。
調達の対象となるものは、物品では、事務用品・書籍、食料品・飲料、小物雑貨、その他物品があり、役務では印刷、クリーニング、清掃・施設管理、情報処理・テープおこし、飲食店等の運営、その他の役務となっています。全国の行政機関や独立行政法人の取扱件数は約60,000件で総額110億円の規模になっています。なかでも、物品では、小物雑貨が、役務では施設管理や印刷業務が大きな数値になっています。
この制度が奈良県で速やかに施行されることで、施設等では生産する商品や役務の安定した供給先が県内に確保できるので、計画に沿った人員の育成や設備の増強を図ることができるようになります。障害者が働く場を確保できることは、工賃のアップにつながり、自立生活への大きなステップになります。
県内のすべての市町村がこの制度を取り入れ、安定した発注及び供給ができるような福祉的な仕組みを早期に構築することの必要を感じています。