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奈良の「新しい社会福祉システム」

 秋が深まりいつのまにか夕方5時頃には日が暮れてしまいます。事業所を出る頃には真っ暗で襟を立てて駐車場まで歩く間に、12月の寒さが襲ってきます。ここ数年、寒さが身に堪えるようになってきました。もうすでに春が待ち遠しくなっています。
 この時期になると、ぷろぼのでは第三次3か年計画を準備することになりました。設立時の第一次計画では、奈良を知り、障害福祉を理解し、就労支援の基礎を築くことを目的にしました。第二次計画では、独自の「就労支援システムの構築」と「働く場づくり」に取り組んできました。障害者が地域社会や職場でその才能を発揮し、一生懸命に頑張っているシーンも普通に見ることができるようになってきました。確実に人々の意識が変わってきていることを実感することができます。
 25年4月から始まる第三次3か年計画は、障害者が地域社会で、ごく自然に働き、自立生活をすることができる社会の仕組みづくりを目的にします。6年の歳月を経て、念願の地域社会と連携した事業に取り組むことができるようになりました。奈良の「新しい社会福祉システム」のスタートと位置付けています。
以下に、3つの取組を書いておきます。
1.夢や目標を持って地域で元気に生活する取組。
 病気や障害があり、家庭の事情や病状によって福祉施設や精神科病院に入所や入院をしている方が、グループホームやケアホームで生活する取り組みが進んでいます。自立生活をすることは、買い物、炊事、洗濯、掃除やお金の管理などを自分自身でやるので、社会人として成長する糧になります。小さな歩みですが、地域との連携で自立生活の第一歩になっています。
 ぷろぼのは、春からグループホームの運営を開始します。
2.就労による経済的な自立への取組。
 奈良県の障害者の内で企業に就職している方は、平成22年は3,714人でした。また就職を希望している方は7,300人以上います。その内の250名以上の方が、就労移行支援事業所で職業訓練を受けています。そして毎年70名以上の方が福祉施設から就職しています。福祉サービスはできれば長く利用するものではなく、目標や必要に応じて活用するものだといった意識が高まってきています。
 ぷろぼのからの就職者は、平成23年度15名、24年度は24人を予定しています。
3.誰もが参画できる社会システムの構築。
 奈良でも地域の絆が弱くなってきており、奈良県の調査によると、住民の近所付き合いについて45%以上の方が近所付き合いはしない、ないしは挨拶する程度となっています。高齢化が進んでいる社会では、老々介護や費用面で個人の負担が増してきています。同じように障害者支援も、家族の高齢化が問題になっています。そろそろ個人だけでなく地域や福祉と協働して支援することが大切になっています。そのために誰もが地域の情報を知り、相談や支援や協力を申し出ることができる仕組みとして、「新しい社会福祉システム」の構築が必要になってきています。
 ぷろぼのは、全事業所でシニアや障害児・者向けのパソコン教室の開催、演芸会や勉強会の実施、及びHPや見学会で活動や制度の紹介をしています。また「なら風の会」では支援者が集えるボランティアサークルづくりも進めています。

 地域社会では、高齢者も、障害者も、子育て中のママも、外国人も、元気な方も、多くの人たちが普通に生活しています。それでも、みんなが同じ顔や考え方をしているわけではありません。人それぞれに、いろいろな思いや行動があるから、日々新たな課題や対策が生まれてきます。時間の経過と共に私たちの立場や思いも変化していきます。そのためには、「お互い様」の気持ちで生きていくことができる仕組みが必要です。 「新しい社会福祉」は私たちが普通に暮らしていくためのシステムです。多くの方に参画していただいて「チームぷろぼの」でこの取組を前進させたいものです。

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