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大局的に
連日新型コロナの状況が報道されています。奈良も29日現在感染者数が80人を超えてしまいました。まだ感染経路が特定できる状況がかろうじて維持されていますが、PCR検査を全県民に実施すればどのような結果になるのか想像するだけでも不安になります。
Stay home週間になり、連休明けまでの期間、多くの国民は自宅隔離状態になりますが、それでも医療や生活を維持する機関や施設は業務を続けてくれています。特に感染の可能性が高い医療機関で働く方たちに、賞賛の気持ちを伝える拍手の輪が世界的に広がっています。
フランスの社会経済学者のジャック・アタリは、これまでの資本主義国家の経済成長は、個人の利己的な欲求がその原動力になっていましたが、グローバル化した時代の今後は国や社会及び他者を思う利他的な気持ちが大切になると述べています。自己と社会のどちらを優先するかの違いですが、これまでは個人の集団が社会として形成された経緯があるので、個人の尊厳が重視されましたが、安全・安心な日々を確保するために作られた社会では、互いに規則を守り、発展させることを第一にすることが重要であり、それを推進することで個人の欲も満たされるとの考えになります。
報道では、コロナ対策に必要なマスクなどの物資や病原菌の遺伝子情報等を自国第一で、囲い込みをするなどの政策がとられているとのことです。このような保護主義的な政策をしても経済活動が解禁され、人の移動が頻繁になると、まだまだ物資や技術のグローバル化が遅れ、十分な対策がとれない地域や国から人が流入して、新たな感染が持ち込まれ、第2次感染が広がることが予測されます。
福祉の基本は“お互い様”に始まり、互いに受容し助け合って生きることです。人と人とが一定の距離を保ち、よき関係を築いて、無理なく長く関りを持てることを目指しています。個人や自国を第一にすることは間違いではないのですが、そこにお互いを思いやる気持ちや順番を大切にすることで、自然に利他的な意識が生まれてくると思います。このような時期だからこそ、身近な地域を考える機会にしたいものです。