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多様性(ダイバーシティ)
生物の多様性について議論が始まったのは、1985年アメリカの科学者W.G.ローゼンがbiodiversityという新語を作りだした時期とされています。これは生物に関する多様性を示す言葉であり、地球上に多様な生物が共存していることを示唆しています。その後、1992年にブラジルで国連環境開発会議が開催され、生物の多様性に関する条約が初めて締結されました。この会議で、生物多様性が自然にとっても、人類にとっても必要なことであり、生態や遺伝学、社会や経済、文化及び芸術へと広範囲な分野で意義深いものであるとの認識が共有されました。またこれは生物の多様性を認めるだけでなく、それを保護し発展させるための具体的な行動計画を設定し取り組むことで、自然科学だけでなく社会科学の分野にも大きな影響を与えました。 人類の多様性(diversity)についても生物のそれと同様に、それぞれ異なる特長や特性を持つ方たちが存在することが認識されました。その存在は自然であり、それを受け入れることが大切であり、人類が長く生きていくことができる糧になったともいえます。福祉との親和性を考察すると、現代社会は多様な人材を認め共存し、それらを活用することであり、社会的に不利な立場にある人々に対して、生活や働くこと及び人権を保障するためにも必要なことになります。 多様性の分野の考え方に多孔的な思考があります。これは物事を決める際に、従来ある固定観念で検討し定義するのではなく、様々な視点から考察を加えることで、新たな価値の発見や洞察を得ることができる思考法になります。身近な人間関係から社会課題の解決においても、最新技術の創造やポジティブシンキングなどの手法を用いて、多様なニーズや視点を理解し、新たに共感や創造を促進することに役立てることになります。 多様性と福祉の取り組みは、福祉支援の対象になる障害や高齢などで生きづらさを持っている人々から、日常生活で困りごとを持っている困難者に対して、福祉的な支援を行うことになります。多様性の課題に取り組むことが福祉の支援の領域や質を高めることにつながります。医療や教育及び福祉分野の高度で広範な経験や知識を持つ人々が協力し合うことで、社会的課題を解決するヒントを得ることが容易になります。例えば、LGBTQの性的指向や性自認などで差別や偏見に遭う人々にも、また不登校の児童についても、同じであることを強要するのではなく、社会は理解や尊重を促し安心して生き活躍できる場であるとの認識を進める原動力にもなっていきます。