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可能性

障害福祉に関わると障害児についても大きな関心事になります。障害がある18歳以下の子どもさんを障害児と言いますが、主に身体や病弱の障害で日常生活に困難さのある人たちが多くいます。彼らを支援するために、児童福祉法及び特別支援教育制度がありますが、内容は学校及び施設に通う必要があるとしてきました。

2016年の改正で「居宅訪問型児童発達支援」が創設され、“重度の障害の状態にある障害児等であって、児童発達支援等を受けるために外出することが著しく困難なものについて、居宅を訪問し、日常生活における基本的な動作の指導等の便宜を供与する”、と書かれています。ようやく、重度の障害があっても、日常生活を送るための教育や福祉的な支援を在宅でも受けることができるようになり、将来の就労の可能性も広がってきました。

上記に「居宅を訪問し」の記述があり、これは支援者が利用する児童の自宅にリアルに訪問して、支援するとの解釈と思われますが、仮に、オンラインで訪問するとの解釈があれば、コロナ禍で急速に普及し、皆様の意識が変わったE-ラーニングやテレワークを含むと考えることもできます。これは利用する児童にとって最適な支援を受けることができることを意図していますが、2016年当時は、まだまだオンラインによる支援がリアルに居宅を訪問して行なう支援に相当するとの認識はなかったと考えられます。

近年の急速なICTの進歩により、従来の固定的な価値であった、通勤して働くこと、通学して学ぶこと、通所して支援をうける、リアルな対応に、オンラインでも同等以上の成果を期待できるとの理解が出てきました。障害者福祉分野では、オンラインによる在宅支援は、通所が困難な方のみが利用できるとされていて、補助的な支援手法に位置していました。それが今回の制度改正で、“在宅サービス利用を希望する者で、在宅サービス利用による支援効果が認められると市町村が判断した場合”、となり、従来と解釈が変わってきました。

障害児のオンライン支援が認められるには、ICTの普及と共に、オンラインでできる福祉支援を具体化し、成果を示す必要があります。本来であれば国の研究機関等が方針や内容、期待する成果を根拠として示すのですが、技術の進歩のスピードとコロナ禍で急速に価値意識が変わったことで、まだまだ検討の余地はあると思いますが、それでも現実にオンラインで多くの学びや訓練、支援を待っている子どもたちがいることを考慮して、早急な制度改正を期待したいものです。

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