ブログ

効率性と福祉

就労系の障害福祉でもコロナ禍が影響し、ICT導入の取り組みが始まっています。教育や医療分野と同様に、利用者の個人履歴と共に日々の訓練内容や成果についても詳細に記録することになっています。私どもでは10年前からWebのデータベースシステムを独自に開発して、福祉支援の状況を数値や文字で記録しています。またいくつかある事業所のデータも共有し、閲覧できる機能もありまので、例えば、新大宮事業所の利用者が生駒事業所を体験や特別な訓練のために利用することになっても、参加した事業所から記録や閲覧ができるようになっています。就労支援事業では3か月から6か月間の支援記録を集約し、分析して、この間の支援成果の把握と今後の支援計画を作成するための資料にしています。また近年ではさらにシステム開発を進め、過去の実績の傾向を自動分析してグラフ化や要約文を作成するなど支援項目別の成長の傾向が一見して分かるようにしています。このシステムにより、記録から集計分析、方向性の見える化までを実現し、現場の職員の業務を大幅に効率化しています。またこれまでは職員の経験や技能の差で利用者支援が標準化できないこともありましたが、その改善にも寄与することになっています。

一方で、福祉の現場は効率性とはかけはられた、手厚い支援が必要になることも多々あります。大きな業務としては「面談と緊急対応」です。利用者と個別に一定時間に生活・障害のこと、訓練の理解や成果、また将来の就職に向けた同調作業など多岐にわたります。多くは対話により進めますが、将来の職種や会社規模及び勤務先の場所について理解や認識に違いがあることもあります。また緊急的な対応では家庭環境や友人関係等の課題や体調の変化の確認について事業所だけでなく、家庭や職場に訪問することもあり、移動時間も必要になります。

福祉は人に寄り添い、思いを共有し、社会参加や就労の支援を細やかにすることが大切になりますので、時間を超越した対応が求められこともあります。そのために業務を分類し、効率的に対処できるもの、福祉的支援を充実させる必要があるものを仕分けして、他の業務を効率よくすることで、福祉支援の時間を捻出するようにしています。

障害福祉事業が総合支援法で「サービス」の要素が強くなり、福祉的支援の成果として、就職者数や給与額、勤務時間などで事業を評価されるようになり、以前にも増して福祉の効率性に取り組むことが必要になりました。一日の労働時間は最大8時間なので、その間に最高の福祉支援ができることを目指していきます。

Page Top