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優先調達推進制度の可能性
奈良の秋はにぎやかです、全国から大挙して観光バスが訪れ、世界遺産などの散策がはじまります、ピークは正倉院展なのですが、なぜか宿泊客は少なく、いつしか通過型観光地の様相がみえてきて、なんとも控えめな奈良の一面を表しています。
近年になって行政も「観光」を景気対策や産業振興策にして、「奈良の宿泊券進呈キャンペーン」や商店街の活性化に「商品購入プレミアム券」事業も行われるようになりました。徐々に奈良でも地方創生の波を体感できるようになり、奈良のおいしいもの、名産品、特産品、工芸品、大和野菜などをブランド化する動きも見られるようになってきています。特段、大きな企業がない奈良なので、時代に沿って観光、福祉、医療、教育、飲食などのサービス型の産業が中心になってきています。
障害者支援としては、奈良県で「プレミアム商品券」企画も実施され、パン、クッキー、豆腐、お餅などの食品や飲食、雑貨品などを対象に、授産事業の促進が図られています。
この企画に併用して、優先調達推進事業も本格的にはじまりました。先日、奈良県の5つの福祉圏域で行政や福祉施設の関係者向けに説明会が開催されました。この制度は、障害福祉の施設に行政や関係機関が業務を優先的に発注するためのものであり、特に地方自治法による随意契約事項によって、入札企業として登録していなくても、福祉サービス事業や障害者雇用をしている企業であれば、優先調達品の入札に参加できるようになっています。
厚労省のHPには、制度の内容、実施状況の一覧、受注規模、関係機関の優先調達の対象品などが掲載されています。実施総額の大きなものは商品よりも役務になり、特に印刷や制作、Web、クリーニングなどが上位にあります。全国の市区町村の8割以上が方針を策定し実施計画を進めているとのことです。
奈良では、まだまだ市町村や施設によっては温度差があります。福祉側の課題として、授産事業所を障害者の働く場にするのであれば、これを機会に民間企業の要素を組み入れた態勢に移行する必要を感じています。優先調達制度は、行政との取引を継続できるので実績を重ねることで、将来は公・福が相互に協力し合える関係の構築が期待できます。地域の福祉資源を高めることで障害者が普通に働く、そのような環境づくりを目指したいものです。