ブログ
働く場の基準をつくる その3
今年も奈良労働局から企業が障がい者を雇用している実態を示すデータが発表されました。奈良に本社がある企業の平成25年5月末時点での障がい者雇用状況を示すものです。昨年度は、対象企業総数が455社、雇用している障害者数は1,651人分であり、奈良県の障がい者雇用率が2.15%でした。この数値は全国的には第3位の実績になっています。
本年は対象企業総数(従業員50人以上)が496社になり、昨年より50社ほど増えています。その内障がい者雇用率2.0%を達成している企業数は、277社、56%になりました。未達成企業数は219社で比率は44%になります。この未達成企業の障がい者雇用予定数を合計すると324人分になります。まだまだ奈良県では300人以上の障がい者が働く場があることになります。
4月に障害者雇用促進法の改正が施行されて、企業の障害者雇用率が従来の1.8%から2.0%に引き上げられました。ですから従業員50人に対して、1名以上の障がい者を雇用することが義務付けられたことになります。この改正に伴って厚生労働省では、企業に対する雇用支援策として以下の3点の政策と予算の強化が示されました。
① 中小企業への支援等の強化や地域の就労支援の強化
② 障害特性や働き方に応じた支援策の充実・強化
③ 障害者の職業能力開発支援の推進
を主要な柱として、障がい者に対する就労支援の充実を図ることを目指したものです。
このような政策が発表されますと、障害者雇用の分野に営利企業が参入し、障害者の派遣や紹介の事業、障害者の雇用企業の受け入れコンサル事業、障害福祉サービスや特例子会社を設立するためのコンサル事業など、多様な業種を備えた営利企業が急速に増えてきます。Webで「障害者雇用」でキーワード検索すると多くの企業が表示されます。
障がい者雇用は、厚労省も指摘しているように、「障害特性に応じた対応」が求められることなど、障害のない方の雇用と大きく違う点があります。障害によっては、身体的なことだけでなく、思考法やコミュニケーションの手法や体系などに細かな支援が必要になることがあります。
従来はこのような支援は「福祉」がしていましたが、営利企業が多数参入したことで、上記のように本人に沿った支援がはたして可能なのかどうかを危惧する思いがあります。営利企業の、「競争原理」では、解決しない要素があるのです。また厚労省の政策の予算設定を確認しますと意外に福祉系が少なく、労働系を対象にしたものが大半になっています。「雇用促進だから労働系になる」・・では、課題が残ると思われます。
ぷろぼの福祉グループでは、障がい者雇用が注目され、関心が集まるこの時期に、福祉手法による障がい者の就労支援を確立させたいと考えています。障がい者が地域で自立した生活を実現するために、福祉的な準備を強靭に進めることになります。