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働く場の基準をづくる その2

 最近は年の瀬だけでなく、12月1日から「社会福祉法人ぷろぼの」の事業を開始する準備で忙しくなっています。これから法人格が2つになるので、「ぷろぼのグループ」として、みなさまに分かりやすい内容でお伝えする必要性を感じています。先日、機関紙Probono Publico Vor.8 で詳しくお伝えしているところですが、内的には契約関係の名義の変更が大変です。設立から7年を経過して、事務所の賃借、コピー機、車輛、保険などなど、これほど多くの事務契約をしてきた現実をみると驚くばかりです。
 この間を振り返ると、多くのことがあり、就職が決まり卒業された方、途中で利用を中止された方、今なお頑張っている方など、利用されたお一人おひとりのことが思い出されます。みなさんがご自分の思いに沿って頑張っておられることを期待しています。
 昨今、障がい者の雇用について変化が生じてきました。老人介護に比べて、今まではこの分野に注目される方も少なく、日々黙々と小さな努力を積み重ねてくことが、障がい者の自立生活を支援するために必要なことだと信じてきました。ところが障害者雇用促進法の改正により、企業や団体の障害者雇用率が向上し、障がい者の採用を促進する動向が顕著になってきました。これに連動して、障がい者の就職を支援する民間企業の参入も多様になってきています。Web上で「障がい者就職・・」などで検索すると多くの紹介サイトが表示されます。そこに書かれているキャッチコピーは、まさに競争満載の内容が氾濫しています。
 巷では、労働者が不足すると、まず女性、次に外国人、シニア、その次に障がい者・・・の順に採用が進められてきました。そこには雇用調整金や雇用開発助成金など多くのお金が動くことになります。また雇用率が未達成の企業には違約金として、納付金制度が設けられています。障害者雇用についてのアンケート結果を見ると、企業の多くが雇用率の指導が原因で障がい者雇用をすることになった・・との回答になっています。
 このように障がい者の就労支援の現場では、大きな意味での制度が整備されてきました。それだけに、福祉的な支援の態勢を整備する必要が生じてきました。このままでは制度が先行することで、障がい者が働く職場の環境整備についての懸念が生じてきます。例えば、障がい者に他の従業員と同等の生産性をいきなり要求する・・、他の従業員が残業しているのだから障がい者も残業するのは当然だ・・、職場環境の改善など特別な対応はしない・・、などの課題が生じる可能性があります。
 以前に女性が社会進出された時にも、トイレの事、更衣室のこと、食堂のメニュー、体調管理のことなど、当初は企業側も無頓着でしたが徐々に改善がなされてきました。障がい者雇用も同様に、職場環境や雇用条件について「配慮と改善」がされてくることを期待しています。そのためには、早急に行政を中心に、奈良の実情に則した障がい者雇用の基準をつくり、それに沿った具体的な事例の紹介やメディアでの啓発活動が不可欠になります。

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