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働く場の基準をつくる
今年は、暑い夏が長くつついただけに、木枯らしが吹き始めるこの時期を迎えても、年末の実感がわきません。半袖からいきなりコートへ・・となると毎日の服装に困ってしまいます。またインフルエンザの時期にもなりますので健康管理に努めてください。
さて、法人の主テーマとして、障がい者の働く場をつくる活動を継続しています。大阪や京都のような都会地と違い、奈良は中堅企業が少ない地域です。毎日の訓練に精を出して多くの技能を習得した利用者が、いざ就職活動となるとなかなか思うような条件に合う企業がありません。ついつい通勤時間を長くして大阪などに範囲を広げ、働きに行くことになります。調査によれば障がい者が継続して働くことの条件に“勤務時間が短いこと”(30分程度)が挙げられています。これは身体障がい者に特化したことではなく、この間の取り組みから、すべての障がい者に当てはまることだと判断しています。
このように働く場として民間企業が少ない状況を考慮すると、奈良では福祉サービスが提供する就労継続支援A型(以下、A型事業)の事業所が就職先の候補になります。A型事業とは、障害者総合支援法が定める福祉的な働く場を想定した福祉サービスです。ただ従来の福祉的な働く場ではなくて、労働三法の対象となる事業体で、雇用契約に基づいて、週に20時間以上の勤務、最低賃金の保証、各種保険の受給などが保証されているものです。簡単に表現すると、“福祉的な支援を受けながら、通常の労働契約で働くことができる事業体”になります。障がい者にとっては、職場環境や条件について、福祉的で合理的な配慮があるので、働きやすい職場になります。
最近、奈良でも多くのA型事業所ができてきました。事業主や親会社は福祉とは関係ないところも増えてきました。異業種からの参入も地域の福祉を活性化するためには不可欠なものだと思います。ただ、福祉の現場がこのような状況になってきている時に、奈良県と奈良市の判断に相違がでてきました。奈良県はこの制度が始まって依頼一貫して、株式会社などの営利企業がA型事業を行うことを、認可していません。現在でもその認識で進んでいます。一方、奈良市は株式会社の認可を承諾しています。奈良県内では、福祉サービス事業の認可は、奈良県と中核市である奈良市(奈良市内で福祉行う場合のみ)が管轄しています。
先日奈良市の障害福祉担当課にその理由を確認しましたが、株式会社を認可した明確な理由や独自の政策について、見解をいただくことができませんでした。福祉の現場で直接利用者の支援をしているものからすると、曖昧な判断基準がとても困ることなのです。全国的には大半の府県では株式会社がこの事業をすることを認めています。奈良が特別なのかもしれませんが、なんとか両者が話し合って、奈良の福祉の現状にあった方針を決めることになればよいと思っています。
福祉は地域の方の暖かいご理解や協力があって、はじめてよい福祉環境をつくり上げることができます。そのためには“わかりやすい基準や制度”にすることが大切だと考えています。