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働く場の基準づくり その4
今年も残すところ数日になりました、年齢を重ねると日々の過ぎ去りが猛烈に早く感じます。自然は若い時と同じ時間を刻んでいるのですが、このような印象を持ってしまうのは、その分だけ私がのんびりと、大まかに生きる技を身に付けたのかもしれません。それもきっといいことなのでしょうね。
先日、ITセンターの福祉3R事業をしている職場に、ペレットストーブ(さいかい産業製)が設置されました。小型のものですが木質ペレットが勢いよく炎を上げて燃えています。ストーブからは、柔らかでとても優しく職場を包むように温めています。このところ電気やガスのある生活に慣れていましたので、室内でこれだけ勢いのある直火を見るのは久しぶりです。木のクズを薬のカプセル状にしたものが木質ペレットでこれがストーブの燃料になり、燃焼とともに自動で補充されてきます。直火とともにペレットが流れてくる光景もなかなかいいものです。
電気やガスなどが当たり前に供給されるエネルギーに囲まれた生活から、木質ペレットはすこし次元が違う空間を体感するようになります。自然や親近感、回顧性を感じるのは、それだけ「木々」が身近なものなのに忘れてしまっていたのでしょうね。奈良はあたり一面に緑の山々が広がっています。そこには木々があるのですが、木材や建材としての意識はあっても、いつのまにかそれが身近な燃料(エネルギー)であるとの認識は薄れてきていました。わずか60年前には、日本の多くの家庭では、煮炊きやお風呂、暖房に木々を使っていたのでした。私が育った愛媛の地でも、七輪で煮炊きをし、風呂は木や竹などを燃料にしていました。風呂を沸かすのは、幼い私の役割だったことを新鮮に思う出すことになりました。
生活様式が近代化して利便性が高まることは素晴らしいことですが、いつのまにかそれまでの技術や文化に「古」「旧」を付けて、切り捨てていたことに気付かされました。みんなが同じ方向を目指し、同じ価値を持つことが当然であり、流行であるとの風潮の是非について、一台のストーブが、それを振り返るよい機会になりました。
障がい者が働く場を作ることの基本は、人はそれぞれ違いがあり、それが個性、特性であり、これを伸ばすことが必要なことなのです。社会や企業でも、人の持つ多様性が大切な要素なのですが、社会や企業に役割ができと機械やロボットが持つ均一性が優先されることがあります。これから障がい者が働く場では、経済的生産性とダイバーシティ・マネージメントが混在した新しい概念が作られると思っています。奈良の福祉グループぷろぼのは、この新しい職場の概念づくりを目指して活動していきます。
来年もよろしくお願いします。