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人が持つ自然な機能

 先日、熊野のNPO共育学舎に伺いました。近くに所有する川沿いの土地に“人生のとまり木となる村をつくる”プロジェクトが始まり、クラウドファンディングのmotion-galleryで建設資材の費用の協力をお願いしました。おかげさまで多くの方の協力をいただき目標金額を大きく超えることができました。ありがたいことです。

 この村の住人第一号を目指して、自力で独自の手法で家を建築している方にお会いしました。彼は昨年、「安心ひきこもりライフ」の本を出版され、1万部を売り上げたそうです。なんとすごい数字なのかと驚いています。彼は42才でhひきこもり歴10数年のようです。その彼が自力でマイホームを建築する、素晴らしさと驚きを感じさせてくれます。ちなみに彼によると、ひきこもりとは、多くの方が学びや働いている平日の午前中に、ゲームやTVを見ても特に疑問や罪悪感を持たないことのようです。

 政府の発表では約70万人のひきこもり(ニート)の方がいるとのことですが、実態はその倍の人数になるようです。理由は多様で、成長期に社会との連携がうまくいかなかった方、障害などが原因の方、競争を前提にした学ぶことや働くことに疑問を持たれた方等、いろいろあります。それでも現実の日本社会はなにもなかったかのように、日々全方位的に動いています。

 それでも勇気を出して、もう一度社会に参加する決意をされた方には、心と体、思考や行動を一連のものとして、スピーディに連動させることに戸惑いを持つ方が多くいます。不思議なことですが、人は考え、行動する一連の動作は、すべて脳からの命令で無意識のように行います。言葉を聞き、要点を理解し、できることを即座に判断して行動する・・・この一連の動作を、人は社会と接することで身に付けていきます。「社会的な脳」と言われますが、これが脳の上手な使い方なのでしょうか、成長と共にこの手法を身に付けていくとのことです。

 五感で得たものを社会脳で的確に対応する、この一連の動作を学ぶことを感覚統合の訓練といいます。見ること、聞くこと、味わうこと、臭うこと、触ること、人にはこのように素晴らしい自然の情報収集機能(センサー)を持ち合わせていることを意識することになります。検討や分析はそれからはじまるものなので、まずこの五感を磨くことが大切になります。

 アリストテレスの「人が持つ知性と感性は線形である」は、このような人の自然な機能と社会性から導き出されたものなのでしょうね。このような考え方や思いを日々の訓練に応用することを目指していきます。

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