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ハードルを低くして

近くの椿の花が今年もきれいに咲き、どこからかメジロがやってきて深紅の花に群がっています。立春が近づくこの時期は事業の振り返りの作業が始まります。例年、計画に沿って事業を進めているのですが、その成果や課題について具体的にまとめることになります。

昨年7月に新大宮に木造の福祉ビルを建設し、8月から新たに自立支援事業として、「アースカラーぷろぼの」を開始しました。これは障害の程度によって、すぐに就職活動が難しい方に向けての前準備の役割になります。主に障害のこと、日々の生活、安定した通所習慣、コミュニケーションやマナーの習得のためのメニューがあり、平日の朝10時から夕方4時の間で個人及び集団でのプログラムが用意されています。

よく障害が重度の方は就職も大変なのでしょうか?、の質問をいただきます。そのような方もおられますが、障害認定は人として健全な生活を送るための基準なので、重度の方の就職が難しいとは限りません。例えば、障害認定が1級やAであっても働くことができないことにはならないのです。電動車いすの方や人工透析の方は身体障害1級になりますが、個々の思いや働く能力に応じて、職場の条件や環境を整えることで、働くことができるようになります。

障害によって通勤に負荷がかかる方は、自宅で職場と同じ環境を作ることができれば、希望する仕事に就くことができます。また定期的に医療支援が必要な方は、短時間の有給休暇を取得できる制度などがあれば、仕事を続けることもできます。漢字の読み方や計算が苦手な方は、書類等に読み仮名をつけることや大きく短い文章で示すことで改善できますし、さらに本人が計算しなくても結果の数字だけを示すようにすることで、ハンディキャップを乗り越えることができます。

これらはすべてにおいて職場の理解が必要になります、これを障害者が職場に要望することはまだまだ大変なことなのです。政府では“はたらき方改革”の検討が進められていますが、障害者差別禁止法や雇用促進法ができ、職場で合理的配慮事項が定められても、それを理解し協力する職場ができなければ、課題解決にはつながりません。

職業経験が少ない方には、企業は高いハードルになっていて、消極的になっている方もいます。

障害が重度であっても、社会と交わることや働く体験をすることで、具体的なイメージを持つことができるようになります。目標を持ち、現実を正確に見て、体験することで新たな可能性の広がりを伝えることも、「福祉」の大切な役割になります。

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