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ダブルワーク解禁

奈良でも稲刈りが終わり、小金色の田んぼが徐々に枯れた藁色に変わっています。子どものころは、広くなった田んぼで野球をして遊びましたので懐かしく思い出される原風景です。日本の農家の大半が小規模の副業農家です。平日は市役所や地元の企業に勤め、休日に稲作をしてJAに出荷し、農機具と肥料代になればいい程度の規模になっています。元来、農業者のことを「百姓」と称していましたが、その名の由来も“暮らしのことならなんでもできる人”が起源になったと思われます。農業を主に、副業として家や納屋を建て、農機具を修理し、農道を補修するなど多彩な技と知恵を持っていました。

現代のように企業に勤務する働き方が普及すると、労働法が制定され、企業は週に40時間以下の労働時間を厳守し、有休休暇等、定期給与や賞与を支払い、年功序列や終身雇用制度を作り、従業員の確保と育成に取り組みましたので、就業規則に副業を禁止するなどの規定があるのが一般的でした。

国の人口が増え、経済が成長している時期はこの日本式の雇用形態が評価されましたが、人口減少になり、企業の余力に限界が見えてくると、在籍期間等を基準にした賃金の支給方式が見直され、順次、成果方式が広がり、最近ではJOB型雇用として、業績目標を設定して、達成の程度で評価し、賃金に反映する方式が広まってきました。このようなになりますと、業務の適応性等で徐々に賃金格差が生じ、この傾向が続くと誰もが目前の課題に注視して、近未来のことや会社全体や地域における企業の役割など、ESG要素を重視する傾向が薄れることの懸念が生じます。

副業(ダブルワーク)解禁は、企業にも社員にも大きな意味をもたらすことになります。企業には、自社の風土や業務を知るだけでなく、外部のビジネスや活動に触れることで多様な価値や手法を学び、多面的な感覚を習得してほしいとの思いがあるようです。また社員も収入の確保やキャリアアップの良い機会ととらえることもできます。

ダブルワークが解禁されると、これまでのように企業のCSRや総務部門等の方との出会いから、営業や製造、研究開発部門等の方との出会いも増えてくるかもしれません。福祉の魅力は日々の安全で安心した暮らしに取り組むことなので、生活全般に気配りが求められます。そのために福祉職員は日頃から広い視野でニュースや出来事に触れ、理解するが求められます。世間で言われるように福祉=介護だけではく、障害者の日々の暮らしの支援から社会参加や就労準備に対応できる技能が求められます。企業組織に勘案してみれば、「福祉業界は地域のスタッフ部門」の立場になり、多様な思考が必要になります。

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