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お互い様から

都市への一極集中が相変わらず進んでいる。若者たちが田舎から都市へ移動している。結果として田舎は年老いた者だけで:守ることになってきている。いつのまにか田舎では耕作を放棄した田畑が広がり、懐かしい里山も整備されないままに荒れている。
田舎の主な産業は「農業、林業」であるが、これらを担う若者たちがいなくなっている。「食料自給率の向上」なるスローガンもむなしく聞こえてくる。高齢化率や限界集落などの言葉が違和感なく聞こえるようになってきている。
 そのような折に総務省が「地域おこし協力隊」なる取組を始めた。都会に住んでいる若者に、最大3年間の生活及び活動費を国が支援する制度である。事業の目的は「地域の活性化」であるが、参加する若者たちの思いは多様である。
・都会を離れて地方で生活したい
・地域社会に貢献したい
・人とのつながりを大切にして生きていきたい
・自然と共存したい
・自分の手で作物を育ててみたい・・・などである。
都市の若者たちは、さまざまな理由で豊かな自然環境や歴史、文化などに恵まれた田舎に意識が移ってきている。
 時代と共に人々の生きる価値観は変化する。80年代の高度経済成長時は、都会の大企業に就職し、時代の潮流に乗って、自分の可能性を追求する生き方が主流であった。それが結果として国を成長させ、日々の暮らしを快適なものにすると信じていた。21世紀になり安定経済の時代になると、変化することから安定や豊かさを大切にするようになった。
 「地域おこし協力隊」は、都会から田舎への逆ベクトルへの取組である。都会の若者たちが田舎に価値を見出して、定住し、田舎の人たちと協力して事業を行う。このような取組は以前にも多くあり、よい結果を生んではいない。ただ時代が確実に推移し、すでに都会に若者の思いやエネルギーを包括する力がなくなってきていることを認識すべきである。
 田舎には、無限という未知の可能性がある。若者たちがそこでなにを感じ、なにをするかはわからない。ただそれが将来大きな集団になることを期待する。老人から若者へ、時代の主役は確実に移行する、「お互い様」の気持ちから時代がつながっていくことを楽しみにしたいものである。

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