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「就労系福祉」との出会い
福祉に取り組むようになってから18年が経過しました。振り返ると多くの利用者のことが思い出されます。例えば、利用を始めた頃は週に3日くることができれば上出来で、さてさてどのように支援したら、就職できるのだろうかと危惧する方もいました。また気さくな方もいて、日々の訓練で取り組んだことを細かく話をしてくれ、最後には必ず楽しかった、また明日来ますと言って帰られる方もいました。この仕事に就くまでは、障害のことも、彼らの日常的な困りごとも、また企業に就職して働くことのハードルの高さも十分に理解していなかったようにも感じています。 その時代は、まだまだ障害者を働かすことなど誰も想定していなかったので、戸惑う福祉関係者や自治体及び企業がありましたが、徐々に皆様の理解が拡がり、今では全国で約61万人の障害者が働くようになりました。産業別や職種も多岐にわたり、単純な作業系の業務からPCを活用してHPの制作やデータ入力する業務などがあります。また船舶や鉱業のように危険度が高い産業分野でも、新たに既存の業務を切り出して、専門性の高い方が担う業務と比較的簡単な業務は障害者が行う分業が進んできています。 市民の理解や企業の雇用状況が好転することで、障害者の働く準備を支援する福祉事業所の役割が益々大切になってきました。福祉分野は介護系福祉と就労系福祉があり、介護系は主に食事や入浴等の日常生活のことをヘルプすることになりますが、就労系は、職業訓練センターの役割に近く、働くための技能をお教えすることに加えて、社会性のコミュニケーション能力や障害についての自己理解を促す支援があります。挨拶の仕方、メモの取り方、清潔な服装、表情や姿勢の作り方、職場での昼食時の過ごし方などになります。すべて一般の方にも共通するものであり、職員にも大きな学びの機会になります。 今、人口減少による労働力不足で、福祉業界も人材の採用と育成に苦慮しています。特に就労系福祉は、多様な経験が大切なので、大学で福祉を学ぶ方とともに、異業種からの転職者が遙かに多くおられます。今後、魅力ある産業として発展する可能性が秘められている「就労系福祉」で働いてみたいと思われる方との出会いを期待しています。