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福祉の現場にAI
中秋の名月、奈良が最もかがやき雅な季節になりました。
障害福祉の就労支援の現場では、日々訓練プログラムに応じて個別の状況、成果、課題を記録しています。それらを6か月毎に集計し簡易な分析をして職員が個別に職業能力を評価する資料や今後の訓練や目標を示す「個別支援計画書」を作成します。
この日々の資料を記録しているWebデータベースにはすでに膨大なデータが蓄積されています。職員は日々の訓練の成果などを振り返り、計画書の個々の項目と総合所見を書いていますが、人間のすることなのでどうしても職員差や、期間的な印象の強弱に影響されて客観的な計画づくりができないことも生じます。
これらの訓練記録や計画書から、職員がデータのどの部分に多くの影響を受けたか、どのような思考をしたのかを知るために、データをAIの機械学習処理することにしました、こうすることで職員が書き示した項目別の文の思考ロジックを解明したいと考えています。目標は障害者の職業能力を評価するエンジンをつくることになります。
一方、福祉施設がITやAIの専門家を多数雇用することは難しいので、3年前から外部に福祉型事業協同組合(あたつく組合)を作り、IT系の業務の請負などをすることで徐々にエンジニアが集まってくれました。彼らと開発チームを編成して、今回のプロジェクトを行います。私どもの利点はエンジニア集団だけでなく、評価エンジンからの一次データを福祉の現場で支援している職員が精査して定期的に指摘、改編することができることになり、AI評価エンジンを福祉的に育てることになります。
障害者の就労支援は、障害特性から年齢、性別、職歴、成育歴、社会性の程度、障害の受容性などの要素が現状の職業能力と可能性に大きく影響することになります。評価エンジンを開発することでこれらの項目と結び付けてみることも今後の課題になります。
今回の研究開発については、公益財団法人三菱財団様から助成をいただいて進めることになりました。お礼と共にプロジェクトの成果を生み出すことができるように頑張っていきます。今後ともご理解とご支援をお願いいたします。