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新マルチ労働

奈良県内の企業の有効求人倍率が高止まりしており、概ね1.3倍以上で推移しています。産業別求人割合では医療・福祉分野が特に高く全体の36.5%を締めており、特に奈良県では全国に比べてこの分野の割合が高く、人手不足が顕著になっています。厚労省の予測では2030年には、全産業で約1,000万人の労働力が不足するとの試算が出されていますので、根本的な対策が求められます。 長年にわたり少子化が進むと労働者数が減少するのは当然であり、対策することは必要なのですが、それはあくまでも長期スパーンの政策になります。そのために近々では、新たな視点による労働の分割や業務の省力化、効率化に対処できる労働全般についての検討が必要になりました。 長く同じ職場で働いている方はお判りでしょうが、以前に比べて職場の人数が急激に少なくなっていると思いませんか、当然のこととして、一人にかかる業務負担は大きくなります。民間企業は以前からRPAによる製造ラインにロボットを導入しています。特に食品関係では滅菌処理された生産空間でほぼ自動で食品が製造及び包装されるなど、一段と環境整備が進んでいます。 また企業の採用や雇用制度も変更され、採用においては中途採用や定年年齢の延長や再雇用制度の導入など、有効な人材の採用と育成及び確保に注力されるようになっています。働き方については社員の利便性やリスキリング意識の向上に合わせて、フレックスタイム制、テレワーク、、ダブルワークも導入されるようになりました。従来の終身雇用、年功序列によるメンバーシップ型雇用が少なくなり、特定の業務の練度を重視するジョブ型雇用に移行しています。 一見すると自動化やシステム化されることで人材減少の対策になるようですが、一方で余剰人員の有効な活用も課題になります。余剰人員化が進むと、数字的には他部署や産業への転用ができそうですが、簡単ではなくて、例えば、同じような業務であっても、効率化や高度化を新たに求められますと、人が持つ環境順応性や思考特性により、経験のある職務であっても自然に慎重な気持ちになり、従事できる人材が少なくなる傾向があります。便利になることは、経営的には評価されますが、労働者には必ずしも適正な手法になるとは断定できなくなります。 障害者の採用についても変化が出ています。従来は法律による障害者雇用率を達成するために、別途に採用基準を設けていた企業が、次第に障害のない方と同じ基準で採用するようになってきました。それまでの「障害者はお客さん、手のかかる社員」との認識から、彼らを本気で戦力に育てることに取り組むようになっています。高速化や効率化が進むことと同時に新たに人材育成法やマネジメント手法を併用することが必要になりました。就労系福祉の現場でも企業の姿勢を受け止め、この傾向に沿った人たちを育成することを心がけていきます。

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