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因果と相関

障害者福祉は平成18年の障害者自立支援法の施行から大きく内容が変わりました。それまでは措置法として、障害者は行政が運営する福祉施設を指定して、そこを利用するように通知する状況でした。また就労についても、障害者は働く能力に課題があるので、福祉施設で授産品を製造する手助けや希望する趣味の活動をすることになっていました。それが自立支援法からは、障害者が利用する制度や施設を主体的に選択でき、就職についても、職業訓練を受けて働き、経済的に自立する生活を目指すことが当たり前になりました。

福祉における因果関係について、以前は障害者は就職に課題があり、そのために結果として、働かなくてもよいとの判断がなされていました。それが働くことを目指すようになった因果については、障害者と働くことの2つの主要な要素から、新たな関係性、相関性を導きだしたことによると考えられます。

障害者について、障害者基本法では、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。」となっており、その認定には医師の判断が必要となっています。よく病気と同だと思われていますが、障害は、継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものになりますので、一次的な症状及び症状が変化するものは障害にはなりません。

就労について、法律では「この社会生活に相当な制限」とされていますが、就労については具体的な記述はなく、日本国憲法の第二十七条 「すべての国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。」これを参照すると障害者に就労することを制限していた以前の解釈に問題があったことになります。

現代は、働くこと、就職について職種は多彩であり、産業分野では新たな仕事が生まれています。新たな技術下では、パソコン等の電子機器とネットワーク通信を利用して、従来ある業務を自宅等で担うこともできるようになり、またプログラミングや開発及び制作分野では、AIや3D及びアバターなど新規の業務や手法が作り出されています。雇用されることが就職になっていた時代には、通勤すること、与えられた環境や設備及び同僚と業務を担うとなっていましたが、テレワークやメタバース手法を活用すると従来の働くことの定義が拡張することになります。

就労系の福祉の因果と相関から、今の時代はそこに多様な要素が出現し、それらが複雑に組み合わさることで新たな価値が生まれ、障害者の働く機会を作り出すことになります。障害者福祉の主要な要素の相関が進むことで、日本が誇る安定した社会構造の維持に寄与することになると確認しています。

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