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福祉と知識

春、桜の時期になると卒業や入学の風景が見られます。日本国憲法26条(学習権)では、日本人は6才から15才までの9年間は義務教育を受けることになっています。その後は希望すれば高等教育等の知識に触れることができるようになっています。戦後の日本はこれにより識字率は向上し大半の方は読み書き、計算ができるようになりました。基礎的な学力を身に付けることで、日常生活の出来事を理解し対応できるようになりました。さらに専門的な知識が増えることで、以前は気づかなかった事柄にも興味が湧き、理解できるようになります。

高度な知識を有する人が増えることで社会に多方面の常識が生まれ、それを守り、維持するために各種制度がつくられ、それを繰り返すことで住みやすい社会環境が整備されることになります。

民主主義制度は、自ら学び、考え、意見を述べることができる人々がいることが前提になります。報道されるニュースを見て、多くの出来事についても考え、客観的に判断する見識が蓄積されるようになり、また人々の表現や主張が増えることで、社会の常識枠が広がり、価値が多様になり、日常的なことから緊急時の対応についても、衆知による議論の場が自然に設けられるようになります。

社会は市民の思いや希望を集約して、予算規模や技術水準、また緊急性等の状況を考慮しながら、順番をつけて、それらを実現するための取り組みが行われます。個人的には裁決や順番に不満を抱くこともありますが、多数の意見を尊重することが大切になります。社会福祉はその裁決や順番によって、直接的な不利益を被る人たちを支援する制度でもあります。経済対策が遅れることで、企業業績が悪化して失業や給与カットになり、生活が苦しくなる方、また待機児童政策が遅れることで育児中で就労を準備されていても保育園の枠がなく困まっている方、さらに医療政策の遅れで高度医療を受けることができなくなった方など、まだまだ多くの課題があります。

民主主義では地域社会の仕組みは選挙で首長や議員を選出して、行政と連携して課題に取り組むことになっています。その基本的な判断は市民にあり、関係資料や報道から体制に影響されることなく、個々人が適切に考え判断することが求められます。日々の細かな議論や判断があることで社会福祉が成長することになります。

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