ブログ
多彩な言葉と多様な価値
世界中の人たちがコロナ禍で生活が制限され大変な思いで暮らしている時に、ロシアがウクライナへ侵攻したと報道がありました。名目はウクライナ東部にある親ロシア系の人たちが住む地域をウクライナ政府が弾圧したので、それを保護するために平和維持部隊を送りこむとのことです。一方のウクライナ政府はロシアが主権国家を武力で攻撃し占領する意図をもっていると非難し、実際にミサイルなど最新兵器が使用され、各地で銃撃戦が行われ、双方に多くの死傷者が出ているとのことです。CNNの現地報道を見ていますと、ロシアの進行で多くのウクライナの子どもや女性が隣国のポーランドやハンガリーなどに避難をしている様子があり、みなさんが最低限の物しか持っておらず、受け入れ国が食料や衣服及び寝る場所を提供しています。またウクライナの成人男性は国土を守るためにウクライナに残り、また帰国して軍隊に参加するとの報道もあります。
先日、平和の祭典である北京オリンピックが閉幕し、長い冬から春を待ちわびているこの時期に、理由はどうあれ武力を行使して他国を侵略する戦争行為が行われることに驚くばかりです。科学技術が発達し、社会秩序も整備され、国際法の順守も国連を中心に強化されたこの時代に、過去の愚かな戦いの歴史に終止符を打つこともなく、同じ間違いを繰り返すことにためらいのない指導者がいることを恐怖にさえ感じています。トルストイの著書「戦争と平和」から、ナポレオンの侵略戦争によって旧来の制度や体制から新たな時代に向けて歩みだすことの大切さを学び、痛みを経験している国であるので、早急に軍を撤退して交渉のテーブルにつくことです。
先の大戦で国連がつくられ、世界の平和を主導的な立場で尽力することを期待されている安保理の常任理事国がそれを無視して本格的な戦争を仕掛けることになると、国連でこの行為を議論し採決しようとしても当事国が拒否権を発動するので、国連が機能不全になっています。一方でG7を中心にSWIFTからの除外やロシア中央銀行の海外資産の凍結など、早期に強力な経済政策による封じ込めが実施され、その効果がこれから期待できそうな状況にもなっています。専門家によると戦争行為が長期化するとロシアが不利な状況になるとの見解もでています。
武力行為が問題の根本的な解決にならないことは多くの国民が理解しています。そのために人類は「会話」能力を高めて、多彩な言葉と多様な価値で交渉し、理解を深めることを繰り返してきています。他の動物にはない人類だけが有している「会話」で多くの問題を解決できることを再認識してほしいものです。