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福祉事業の違い
障害者の就労を支援するために障害者総合支援法があり、福祉施設は関係者と地域のネットワークを形成し、多様な相談から日常の支援や訓練を担当することで、多くの方の地域での自律を進めてきました。その後に制度が改正され、株式会社等の営利企業も福祉事業に参入できることになりましたので、福祉にも営利企業の広告宣伝やマーケティングの手法が頻繁に使われるようになりました。商業ビルの一角に事業所を開設し、利用者を獲得するために自宅へのチラシ配布やSNSの広告、さらにTVや雑誌等の広告も最近は増えてきました。
このような状況から就労支援事業の分野では、社会福祉法人が徐々に就労事業から撤退して、生活介護等の取り組みに特化する傾向がみられるようになりました。営利企業が参入したことで、地域に確実に事業所数は増加し、しかも都市部に事業所を設置されるので、移動に支障のない障害者には利用しやすくなっています。
一方、課題もあり、障害者の就労支援にあまり経験のない経営者が、職員の育成がおろそかになることやさらに日々の利用者支援についても体系的な手法が準備されなくて、その場の一時的な対応が多くみられるようになりました。例えば、内職に相当するような作業や一つの品物をひたすらつくる作業のみが与えられ、作業する意味や目的、それをすることで利用者の職業能力がどのように育成されるのかなどの説明がされないとの意見も聞かれるようになりました。
障害福祉事業は、利用時には専門相談員による計画相談書の作成やフェースシート及び個別支援計画書、さらに日々の訓練の内容や成果を日報等に記載することが義務化されています。これらを詳細に作成し、日々の訓練に応用するためには、職員に高度な福祉と就労支援及び社会人としての能力が求められます。
障害者福祉に営利企業が参入することは歓迎ですが、この福祉制度の規則を理解して的確な支援をされることを期待しています。また利用される障害者も事業所のHPやパンフレット及び相談事業所や自治体の相談員から希望する事業所の状況をお聞きして判断されることを望みます。