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自然時間

冬至が過ぎ正月を迎えて、奈良では6時半過ぎからぼんやり明るくなってきました。毎年のことですが、私は1月から2月にかけては、とても眠たくなります、春分のころ気温が15℃以上になると忽ち朝も早く起きることができるようになります。これまでは四国の生まれなので、寒さに弱いのかと思っていましたが、今では何となく、冬眠の習慣が体のどこかに残っているかと勝手に想像を膨らませて楽しんでいます。
元日にNHKで「欲望の資本主義」が放送されましたので、コロナ後の日本がどうなるのかとの不安もあり見てしまいました。番組では以前のようにモノをつくり、同量が消費されて経済が循環する時代から、徐々に供給と需要のバランスが崩れ始め、新たに金融分野のみが分断され、新たな市場が形成され、独自の基準で運用されるようになったとのことです。実体経済もモノからサービスやノウハウに移行し、それらが主流になったことで、GAFAのように一部の方に富が集中し格差が顕著になり、社会に大きな歪みが生じた状況を、番組では有形財産から“無形財産”に移行した時代と表現されていました。
有形財産の時代には、競争があり、社会が活気づいて、貨幣もモノも大量にやり取りされる時代には、参加した人がなにがしかの恩恵を受けることができましたが、“無形財産”の構造では、銀行通帳の数値だけが上下するだけで、ごく少数の人しか業務に関わることができなくなります。それでも勝者はいいでしょうが、敗者は多くの痛手を被ることになり、そこには“何となく勝者やなんとなく敗者”はいなくなり、両極端な結果になってしまいます。
資本主義社会が正常な競争を続け、健全に維持するためには、勝者に注目するだけでなく、敗者を受け入れる仕組み、受け皿、セフティネットが不可欠になりますが、急速な社会の変化にセフティネットが対応できなくなり始めています。福祉分野では、老人介護は特別養護老人施設を利用する際には料金などについて貧富の差が大きく影響し、障害者福祉でも同様に親の豊かさが本人の将来の可能性について影響するようになっています。もう少し社会全体にゆとりがあれば、快適な老後やまた新たな教育や訓練を受ける気持ちになることもできるのですが、利用する方の状況によっては、すぐに働くことが求められることもあり、現状に適した細やかな支援が必要になってきました。
この時代の福祉は、社会に生じる幾多の「差」を緩和させ、未来の可能性をお示しすることが役割になります。誰しも平等に持っている自然時間を大切にして、皆様の挑戦のお手伝いさせていただきます。

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