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新農福連携

奈良県が本格的に障害者が農業に従事する取り組みを開始しました。これは障害者が農家に採用され、栽培や収穫、加工に関わった食材には特定のマークを付ける事業のようです。数年前から県の担当者が農家を訪問して、主に養護学校生を対象に実習の受け入れを進めていました。奈良は柿やイチゴ、また大和野菜が栽培されていますが、近年、若手の農業従事者が少なく、人手不足が顕著になっています。福祉による農業の取り組みを「農福連携」事業と称していますが、全国的には事業化されたものは少なく、憩いの場や体験の場になっているのが一般的です。

全国に農業に従事する人たちは200万人程度になり、6割以上が高齢者でそのうち基幹農業者は6割程度で、新規就農者は数万人で減少を補うことができない状況です。新規就農者には農業技術を習得し、農家になるための支援策も準備されていますが、根本的な対策にはなっていないようです。

農業者にならない理由に、収入が低い、仕事がきつい、技術が難しい、などがあります。自然相手の環境に対応する技術と共に、流通ではサイズや見栄えなどに細かい規格が求められますが、その割には収入が安定しないのが現状です。例えば、大根が1本100円、ほうれん草が1束90円など、消費者の家計には優しい値段ですが、生産者には厳しい価格になっています。一般的に農業者は収穫物を農協に運び、相場価格で取引しますが、概ね市場価格の半額以下の収入になります。また栽培法には、露地栽培、ハウス栽培、水耕栽培などがありますが、日本の農業は少ない品種を大量に効率よく栽培する単一栽培が主でこれで利益を得る仕組みになっています。なので、コメ農家、たまねぎ農家、メロン農家などの呼び名がついています。このような栽培法にすることで、年間を通じて決まった作業になるので、そこに障害者が参加できる余地が生まれます。水耕栽培では毎月収穫できるレタスなどは、障害者がポットに種を播く定例の作業が生まれます。

ぷろぼのは3年前から露地栽培でよもぎを4反栽培しています。獣害が少なく、栽培法が簡単で、国産がほぼなく、市場価格が安定していることが要因になっています。これを餅などの食材やお茶、及び浴用剤として商品化しています。農福連携事業は、農業の担い手不足対策、障害者の収入確保の目的がありますが、それとは別に、その事業が休耕地の畔の草刈、水路の掃除などの担い手対策になり、農地の維持管理の役割を果たすことになります。私は18年前に病後の体質改善や体力維持、また退屈しのぎの意味もあって、市民農園をお借りして野菜作りを始めました。田舎育ちなので経験はなくても、どうにか野菜を育てることができました。農業は大切な産業なので障害者だけでなく、障害のない方も農業分野に参入していただくことを期待しています。

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