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働く準備の手間
すっかり春めいて庭の梨のつぼみが膨らみ、今年も桜に似た真っ白な花やほんのりと甘い香りが楽しめそうです。
最近、若い方の大半がスマホを使われていますが、障害者福祉の現場でも新たな出来事が生じています。これまで就職を希望される方は、事前に役所の障害福祉担当課や市内の職業相談事業所と相談して、福祉制度や障害のこと、働く条件について一定の情報を得て福祉施設にお越しになりました。しかし最近は、障害のない方と同様に独自にSNSで企業や福祉施設を調べ、ハローワークの求人募集などで就職活動される方も増えてきました。
福祉施設の就労支援事業は、“働く準備”をする役割を担っています。主に希望される職種や時期、及び条件などをお聞きして、働く準備に必要な要件を整理して相互に共有します。これは直接、就職活動することに比べて、面倒に思われるかもしれませんが、この事前の相談や訓練が就職への近道になります。
ここではご本人の成育歴や職歴及び障害特性をお聞きし、身体障害の方には体の不具合や日々の状況を、精神疾患の方は特性や症状に対する理解について確認します。そうすることで働く準備に必要なことを具体化し、長所を伸ばすための訓練や支援内容を決めることができます。そして就職活動では、企業に配慮してもらう点を詳細にお伝えすることができますので、長く働くための職場環境を整えることに役立ちます。
若い方に働く動機や目的をお聞きすると、“お金を稼ぐため”と言われますが、社会人の就職は学生時代のアルバイトと違って、生活に必要なお金を稼ぐことと共に、一日の多くの時間を過ごすので、“自分の成長”にもつながります。報・連・相やコミュニケーション力を身につけて、配慮のある職場で好きな業務に就くことができます。
福祉の就労支援を担当している施設は、地域の福祉資源であり、障害のある方であれば、また暮らしに困っている方であれば、自由に相談ができ、行政の認可を得て訓練を受けることや施設で働くこともできます。長く働くためには「働く準備」の手間が大切になります。