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思いと目線
正倉院展が終わると奈良も紅葉と共に冬が近づいてきます、今年も多くの方が訪れてくれたことに感謝します。
近年の障害者福祉については、さらに細やかな対応が求められるようになりました。そのため職員は利用されている方のお気持ちや障害の程度などに応じて、彼らが社会に参加するための道筋を個別に具体化します、みなさんの家庭環境や生い立ち、学歴や職歴、思いや価値観、また目標や夢などは千差万別なので幅広な受け止めが必要になります。
職員は、利用される方の日々の言動を注意して見聞きし、成果や課題から希望されていることを推測して福祉的な支援につなげていきます。ぷろぼのには、事前に準備している支援プログラムや仕組みはありますが、それを的確に運用するには、現状をできるだけ丁寧に把握して、その情報から職員が総合的な支援をすることになります。
ただ、福祉の職員であっても「人」なので、その時の体調や感情によって判断に違いが生じることもあります。例えば、昨日まで簡単にできていたことが今日はできない、このような事象があるときに、一般的には“なぜなのか”と原因や理由を考え、その対策を講じますが、良くないことですが、まれに感情によって期待する目標を下げてしまうこともあります。
障害者福祉がサービス制度になったことで、職員には日ごろから高度で安定した支援が求められるので、多様な一般情報や直接支援に関わる専門的な知識を学ぶことになり、分野も健康のこと、生活全般のことから障害や病気のこと、就労のことなど多岐になります。
福祉で働くことの難しさは、この知識の広さにあり、システムやマニュアル化では対応できない部分もあります。また福祉の知識や経験が長くなると往々にして自分基準の知識の習得や活用がされることもありますので、その点の注意も必要になります。その際に重要になるのが職員の「目線」であり、どの立場で成果や課題を見聞きしたのかが大切になります。
利用される方たちの「目線」を心がけることで、真の課題や夢が見えてくることがあります。彼らの洞察力は繊細でとても高いので、それを認識して繰り返し的確な福祉支援を提供したいものです。