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法人格と福祉

この4月から社会福祉法人及びNPO法人ぷろぼのの第13期が始まりました。この間に障害福祉の政策も大きく変貌し、それに順じて地域や企業及び関係機関の意識も変わってきました。社会的弱者と表現される障害者も地域で自立し、可能であれば働いて経済的に自立することが提唱されるようになりました。障害者総合支援法の訓練を主とした福祉サービス事業を行う事業者数もこの10年で数倍に広がりました。企業で就労する障害者数も全国で40万人以上になり、奈良県では2千人以上の方が企業で働いています。また就職を希望される方も2千人以上おられ、多くの方は福祉を活用して就職準備をしています。

福祉サービス事業は以前と違って営利企業でも公益企業でも法人格があれば行政に申請することで認可を受けることができるようになりました。そのために訓練系の福祉事業では3割ほどに営利企業が参入するようになりました。法人の趣旨や目的が違っている法人格を有する法人が同じ福祉事業を担うことでそれぞれ特徴のある事業形態があり、いくつかの課題も見えてきました。

利点としては、営利企業が行う福祉事業は障害者が企業に近い環境で訓練を受けて働くことや採算を重視した経営スタイル、さらに積極的に賃金の向上に取り組んでもいます。全国の福祉事業所で働く障害者の平均月額賃金は1万5千円ほどなので、これを自立できる賃金額に押し上げるために営利企業の経営手法が寄与していることがあります。

他方、課題としては、営利を優先することから、福祉の質が低下する懸念があります。他産業にもみられるように正職員が主になってた体制を経験の少ないパート職員にすることで人件費を下げるなどの調整が行われていることです。福祉における就労支援事業は、障害によるハンデを考慮しつつ最大限の生産性の向上を目指すと共に、そこに「はたらく喜び」を付加することが求められます。賃金と共に幸せ感がセットになっているのです。

最近、営利企業と公益企業との中間の位置にNPOなど社会的企業と呼ばれる企業が生まれ、経営理念や方針に社会的な貢献が明示されるようになっています。障害福祉分野では、賃金と幸せ感の両方を享受できる方針等が提唱されています。社会的企業では、非営利事業だけでなく営利事業も明記されています。これは社会的な課題に取り組むためには継続的な活動が必要になるので、その財源を安定して確保するために営利事業が必要になるとのことです。

公益法人及び社会的企業では、営利活動が決して第一義的な目的ではなく、利益を生み出すのは、あくまでも社会的な課題に取り組むためで、私利を目的にはしていないのです。公益法人である社会福祉法人ぷろぼのは、奈良の社会福祉の充実化に取り組み、福祉事業で収入を得ていますが、決して税金が投入されてはいません。これからも独自事業を開発して資金を調達するために、ITやAI技術や農業分野の事業を精力的に取り組んでいきます、これからも皆様のご理解とご支援をお願いいたします。

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