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優先調達制度の「福祉」

春は例年ジャガイモを作付けします、中腰の作業はなかなか大変ですが、今年もなんとか無事にできほっとしているところです。

奈良でもようやく障害者就労施設等からの物品等の調達推進の方針(障害者優先調達推進法)が制定され、本格的に調達が始まるところです。これは地方自治法167条の2第1項3号で随意契約を活用するように定められていますので、推進方針を策定し、障害者施設等が供給する物品や役務を発注するための検討が始まっているようです。

奈良県庁の平成28年度の方針では、2,000万円が予定されています。この制度は、福祉施設の事業の安定とそこで働く障害者の給与を向上させる目的があります。福祉施設にとっても継続して発注があることで業務内容を精査し、設備の整備、担当者の育成など、職場環境を整備して、さらに生産性を高め、質の良い仕事ができるように努力する明確な目標ができます。

障害者の就労を支援している福祉施設は奈良県下で100か所以上あります。仕事としては、パンやクッキー、豆腐、農産物、お茶などの飲食品、小物、民芸品、アクセサリーなどの雑貨品の製造があります、また名刺やチラシのデザイン印刷、アンケート調査票のデータ入力、会議のテープ起こし、クリーニングやリネン、清掃や除草などの役務もあります。

現状では、施設が供給する仕事は沢山あるのですが、これらを全てまとめ、順次最新情報に更新している広報物がないので、施設側では新製品やサービスができても行政等に営業する方法は限られてしまいます。一方行政側も、年度計画や予算に応じて適宜、調達する仕事の内容や見積額、納期、数量を迅速に確認することができないので、その都度、入札登録施設一覧や過去の資料から依頼先を選定する作業が必要になります。

奈良県は全国に比べて優先調達制度の実施や体制の整備が遅れていますので、これからは行政等と福祉施設が協力して制度の強化を進める必要があります。そのために行政や施設が調達や供給の最新情報を、一元的に提供し活用する機能を持つWebシステムが求められることになります。行政の担当者は調達する要綱をシステムに書き込めば、施設等から依頼に応じた回答があり交渉が始まる、このような習慣ができることで双方の業務が急速に改善されていきます。

この制度は、行政等の仕事を奈良県内で調達するので、障害者の働く場づくりと共に協力するNPOや企業の仕事力を育成することにもなります。現在、奈良県内の仕事の多くは県外企業が受注していますので、この制度から地元の人が奈良の仕事をすることが当たり前になることも期待しています。

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