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福祉にかかわる意味
私は50才まで民間企業で働いていました、その際に働く目的や人生の目標などを真剣に考えることはありませんでした、ただ概ね目の前にある課題に取り組むことが日々の仕事であり、目的でもありました。特に「ものづくり」という視点を大事にして、企業内で完結する取り組みについて、思いの大半を注いでいました。
それが病気をして「声」を失い、その時点で従来の仕事を続けることができないと判断して整理をしました。病状は深刻な状況でしたので、もし生き続けることができれば・・など将来のことを想像する余裕はまったくありませんでした。闘病生活の末にどうにか生きることの可能性を得て、新たな人生を歩むことになりました。
新しく命をいただいたことで、ようやく未来を生きることを考え始めましたが、正直その時点ではなにも新たなことを思いつくことができなくて、不安がいっぱいでした。この年齢で慣れ親しんだ仕事を失ったこと、これから新たに挑戦することの大変さを痛感していました。
そのような時に「社会」との関わりで生きていくことに触れました。私にとっては新たな視点であり、それが市民活動や福祉活動でした。これまではたえず自分が主体になって「もの」を具現化することをしていましたので、「人」と関わり、寄り添って働き生きていくことは新たな世界を知ることになりました。
出発はこのようなことでしたが、それからが大変でした、知らない言葉が目の前を飛び交うのです。日本語なのですがなんとなく意味が分かる程度でした。猛勉強はここから始まり、市民活動、福祉のこと、障害のこと、心理のこと、脳科学のこと、哲学のことそして働く仕組み、生きる仕組みなどの書籍を読みあさり、セミナーを受講しました。おかげさまでどうにか10年間、福祉分野にかかわることができています。
私は年齢を経て「福祉」にかかわることで福祉の本質を理解できたと考えています。「人」を大切にするとは、どのような方とも対等で平等であり、「人」の尊厳を認めることなのです。比較することや違いをことさら強調することではなく、ましてや恐怖や危害を与えることではないのです。その精神を伝え理解してもらうことは大変なのですが、福祉はそれを伝え続けることに意味があると信じています。