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ぷろぼの福祉ビルのお披露目
梅雨の晴れ間に奈良の大宮町に木造5階建ての福祉ビルが現れました。少し見上げる感じで青空に福祉ビルの木肌が馴染んで見えます。外観は桧仕上げなので奈良らしさと共に上品な強さもあり、内装は杉の心材の赤身を使った落ち着いた仕上がりになっています。杉板は白い感じの印象がありますが、深みのある赤身が今の時代に新しい感覚を醸し出してくれています。
構造は、奈良の杉木をCLT工法によって7層のパネルにし、柱、梁、壁面になる部分に木材をふんだんに使用しています。最近の建物では柱は角材で厚みがありますが、壁部分は、コンパネに断熱シートを挟み表面をクロス仕上げにするのが一般的ですが、この建物は壁厚がなんと39cmもあるのです、まるでヨーロッパの石造りのお城並みの厚みがあり、壁厚のすべてに木が詰まっているのです。
厚みのある杉材のおかげで室内には赤身の色合いと共に自然の香りが蔓延しています。奈良のオフィス街である大宮町の一角に森の要素をもった施設が誕生しました。また壁面には柱の突起部分がなくなりますので、壁全面がフラットになり、壁に沿って眺めてみると20mを超える奥行きの長さが強調されてよい味わいを出しています。
竣工してからもありがたいことに多くの方がお越しになられています。森や木の関係者、建築施工の関係の方、行政の方、また福祉の方たちも来ていただいています。“奈良の木”が取り持つ縁がここで広がっています。
1階の食堂の壁には12種類の奈良の木の板をはめ込みました。エノキ、クス、クリ、ケヤキ、サクラ、サワラ、スギ、トガ、タブ、ヒノキ、マキ、マツになります、どれがどの板なのかを探りながら壁を眺めるのもいいものです。ふと小学生にこの12種類の木に触れてもらいたい思いになります。“君たちの未来は木を大切にする世代になってほしい”このような思いが沸いてきます。
よくなぜ木を使い、ましてやCLT工法で福祉ビルを建てたいと思ったのか、との質問を
いただきます。たくさんの理由の中から、一番に伝えたいことは、“自然と共に生きること、それがこれから大切になる”、また木に囲まれた部屋の空気感が人には最もよく、快適にしてくれる、このようなことを話します。
木造5階建ての「ぷろぼの福祉ビル」は、奈良の木をCLT材として使用した初めての建物であることで、多くの輪が広がってきています、今後徐々に障害福祉活動や事業にも話題が広がってくることも期待しています。