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春、習性の輪
春は新たな生活がはじまる時期、進学や社会にでることで以前よりも多くの方と接する機会が格段に増えてきます。人が集まると自然に集団が生まれますので、不安を感じている方は、そっと近づいて身近に話ができる方を“まず一人“見つけ出してください。二人の会話が始まると他の方たちも自然に引き寄せられてきます。人が集団に引き寄せられることは、人間が本来持っている習性なのかもしれません。
障害者の就職活動もこの時期になると卒業される方がたくさんでてきます。最大2年間の訓練を経て、良縁をいただいてそれぞれの企業に就職していかれます。就職への道筋は学生のそれと同様ですが、事前のインターンシップの期間が長いことが特長です。いくつかの企業に見学に伺い、希望が広がれば概ね数週間の実習をさせていただきます。その後、採用へのステップになり、正式に面接をお願いすることになります。
障害のある方の面接で重視される点は、生活リズムが安定していること、社会性があること、言葉や文字による会話ができること、そして障害についての自己理解があることであり、可能ならば、自らの障害について、わかりやすく説明することも大切になります。例えば、障害特性のこと、大変な時の対処法、気配りのポイントなど合理的な配慮事項になっている点です。面接では人柄なども評価されますので、印象をよくするために髪の毛の手入れや服装、しぐさ、姿勢や目線なども事前に準備をしておきます。
採用が決まりましたら、出社日を決めて入社になりますが、障害者就労の場合にはトライアル雇用制度を使う場合が多々あります。最大3か月間の試用期間を設けて相互に職場に馴れる取り組みをします。この間私たちも定期的な訪問や本人への聞き取りをして、疑問や課題の解決を図ります。その後は制度上では職場定着支援が義務付けられていますので、最低でも3年間のサポートを行います。就職することから、長く働き続けることに主眼を置いて定期訪問や面談を継続していきます。
この活動には、日頃から奈良の中小企業や団体の皆様のご協力をいただいています。奈良でドラッグストアーを手広く展開されているファーマシー木のうた様、ならコープ様、奈良ダイハツ様、大和信用金庫様、奈良西郵便局様、富士運輸様、大戸屋様、JEUGIA様、タビオ様をはじめ多くの企業の輪が広がっています。
企業の方のご理解を得て、新たに社会に出る方たちが習性に沿って、元気にそして無事に社会に溶け込んでいくことを願っています。