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現代人の素
冬至が過ぎ、今年も24回目のブログです、毎月2回の更新を10年ほど続けてきました。タイトルは「障害福祉の現場から」です。書き始めたきっかけは平成18年に施行された障害者自立支援法により、障害のある方の就労による自立した生活が可能かどうか、それに取り組むには、どのような思いや手法の探究が必要になるのか、そのようなことに素朴に疑問を持ち、日々福祉の現場で生じる出来事を書き記してきました。
その間に200人ほどの方が就職が決まり卒業していきました。彼らが不安と期待をもって職場で新たな一歩を踏み出す姿を見るにつけても、頑張ってほしいとの願いと共に、就労支援の役割の深さを改めて感じる瞬間でもありました。この間、働くことの意味、目的をよく話しあいました。主にお金を稼ぐために働く・・、自分を成長させるために働く・・、できれば社会の一員として貢献するために働く・・、このようなことが書き出されるのですが、それでもなお、新たな問いかけは続いていきます。
徐々に障害福祉の分野だけでは到底、適当な答えを見つけ出すことはできなくなり、「人間」について、生き物としての人間の思いや欲望、可能性、また生活スタイルや年齢、性別に応じて生じる事象などについて、問いかけを始めてきました。自然と人の成長と老化についても興味を抱かせる多くのことを知ることができましたが、反面、人の多様性、複雑さを同時に確信することにもなりました。平凡ですが知識や経験を基準に、状況に応じて適切に対応することが当面の答えになっています。
障害は先天性とけがや病気など後天的な要素が原因で生じる、身心の機能や能力が安定していないことなのです、程度や持続性によって判断されるもので、気まぐれ、思いつき、度忘れなどの一時的な症状ではないのです。少なくても半年以上同じ症状が継続することが条件になります。 それでも人の日々の言動はいろいろなのであり、理路整然なことなど意外に少ないような気がしています。安定した症状と生真面目さ、また気楽な言動が混在し、それが少し誇張気味であるのが・・障害福祉の現場かもしれません。それだけに日々、真剣であり、また滑稽なことが同時に起こるのです。躍動し、適度な意外性があるから楽しいのです、これが本来の「人間」の姿かもしれません、社会に影響された現代人にとって忘れていたものかもしれません。
このところ”日本で大切にしたい会社”などの題名の書籍がよく売れています、そこでは障害者を雇用している企業が紹介されています、組織が穏やかになり、チーム力が高まることの期待があるようです。それが集団を好む、普遍的な人心に回帰できるからかもしれません。 来年3月の竣工を目指して新大宮に福祉ビルを建設しています、よろしければ「現代人の素」に会いに来ませんか、さらに心が穏やかになるかもしれません。今年もお読みいただきましたことを感謝します、そしてこれからもよろしくお願いします。