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「相性」を育てる生き方を・・

 平成24年、今年の活動のテーマを「相性を育てる生き方」にしました。“相性”とは、「人」や「もの・こと」が互の共通点を感覚的に知ることです。日常では、よく“相性がいい”や“相性がわるい”などと使います。しかし相性がわるい・・と感じている人でも最初は敬遠していても、話してみると意外に共通する点が見つかったりします。改めて表面からではわからないこと、感じてもらえないこともあると思っています。
今まで、“障がい者がはたらくこと”も世間では、“障害があるから働かなくてもいい”とか、“障がい者は戦力にならない”などの予断がありました。しかし近年、障がい者がはたらく機会が増えてくるとその評価が少しづつ変わってきています。
障がい者が元気に働らいている「相性」を感じる就労の場が生まれてきました。また若い企業家が障害福祉分野に興味を持って参入してくれています。以下にそのような取り組みを紹介します。
京都の産・福・学連携で就労の場
平成23年3月に「佛教大学二条キャンパス」内に就労継続支援事業A型の学生食堂「あむりた」が開設されました。京都中小企業家同友会の障害者問題委員会のメンバーが大学と共同して、NPO法人中小企業コンソーシアム京都を設立し運営しています。趣旨は大学生の食生活の向上と地域貢献であり、栄養バランスの良い学生食堂を作りたいとの希望を実現するものです。200席を超え、昼のバイキングは一般客が1,000円、学生は500円。味は京都の安心素材のレストラン思風都のお墨付きです。
ここでは約15名の障がい者がはたらいています。調理、接客、清掃、事務など業務は多様であり、また簡単な接客やオーダーなど臨機応変の対応が求められています。オープンから1年、「相性」のよい企業と福祉と大学が連携した新たな取組となっています。

特例子会社で事務的な就労の場
東京に拠点がある有限責任監査法人「トーマツ」の特例子会社「トーマツチャレンジド株式会社」は、2006年に設立されました、発達障害、知的障害、精神障害、身体障害や聴覚障害など多くの障がい者が一緒に働いています。
勤務地は、トーマツの芝浦、八重洲、丸の内、名古屋、大阪、京都、福岡のオフィス。
日常業務は、社内メール便、パントリー、経理事務、契約書受付、パソコンのセットアップ、エコ関連(キャップの回収、文具リサイクル、観葉植物の管理など)です。特にパソコンのセットアップ業務は、トーマツ仕様にPC環境をつくることなので、少し専門性が必要となります。スポット業務は、コピー、製本、ファイリングやラベル張り、封入、発送などです。それでも全ての業務が細分化され、マニュアル化されているので、できないことがあっても、細かなサポートがあるので、幾度かの訓練を繰り返すことで、完璧にできるようになっています。
配慮と的確な支援があり、自らも努力する「相性」のある職場環境であれば、障害があっても多くの方が事務的なはたらきができる取組になっています。
こころを表現する就労の場
奈良の「たんぽぽの家」がable art companyやアートリンク事業をしています。ここで紹介されている作品を見るたびに、自然さ、エネルギーとノスタルジーの普遍的な「相性」を感じます。開発された描画技法を駆使した現代の作品とは正反対の魅力が伝わってきます。人が生まれながらに持っている、黄金比のようなバランスが作品から観えてきます。生きること、人と交わること、はたらくことの原点がここにあることが確認できます。
このような人に感動を与える“はたらく”スタイルがあることを伝えていきたいものです。

おかげさまで「ぷろぼの」の就労支援の活動が6年目になりました。障がい者が地域で多くの人と交わり、共に生活し、成人になれば当たり前のように仕事をする。これは、「人」として自然な生き方なのです。「相性」は、事前に予測し、イメージするような占いやバーチャルなものではなくて、自らリアルに体験してそこで感じるものだと考えています。何事を始めるにしても“予断”を持たずに、まず取り組んでみること・・そして小さな「相性」を見つけたら、大切に育てていくことです。気持ちを豊かにして素朴に体感して前進していきたいものです。
どのような人でも、自然に生きることができる奈良の町がうまれるには、このようなことからはじめることだと信じています。

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