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“はたらく”をイメージする、その2
企業など法人格を持つ組織体で“はたらく”ことを一般的に就職と呼んでいる。入社し職に就き、理念や方針を理解し、就業規則に順じたはたらくをする。その際に大きく2つの思いが見られる。1つは、はたらくことは、時間と能力を企業に提供することであり、賃金はその“はたらく”への代償であり対価である。2つは、はたらくとは、組織の一員として、能力を企業の方針や目的に沿って発揮することであり、賃金は“はたらく”への対価だけではなくて、成果の正当な分配である。このような考え方がある。前者は一般的には専門的な技能を持つ人の働き方である。後者は企業に属して、その一員としての働き方であり、成果と共に働く環境づくりや新規の提案及び後輩社員の育成なども含まれている。
障害者のはたらくは、後者の事例が多い。彼らの多くは、専門的な知識や技術、経験などは持っていないが、勤勉さ、誠実さ、元気さ、協調性、などを生かした働き方である。それゆえに企業の方針を理解し、はたらく場を知り、その環境で働くことである。日々の教育や訓練は企業の一員としてはたらける職業準備性を育むことを目的に行われている。用意されている多様な訓練プログラムは、働くことへの有機的な関連付けがされているが、まだまだ未整備であり、利用者には具体的に“はたらく”をイメージできない場合がある。
例えば、挨拶の訓練では、朝はおはようございます・・それ以降は、社内では“お疲れ様です”にしている。しかし職場を模した場面では、ある時は大きな声で元気よく言うことが良いが、あるときは小さな声で・・などの細かな対応まではしていない。これが実習する企業では、環境が変わり、状況も違ってくるので、声の音量やトーンなどについて、適切な判断に迷ってしまうことがある。
支援者が“はたらく”をイメージできる訓練で心がけることは、1つには、利用者が企業の一員として“職場の方針”を理解することの支援である。2つには、OJTで理解を具体的に印象づけることである。
職場で役に立つ訓練は、まず“はたらく”ことの本当の意味を繰り返し伝えることである。そして、“人が生きることとはたらくこと”は人生の両輪であることを共に分かり合えるようにすることである。