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福祉の職員と社員
民間企業出身の私は6年前に障害福祉事業にかかわることになりました。それまでは企業の組織で働く従業員は「社員」と「職員」が混在し、役割や業務内容によって、呼称が使い分けされるものと思っていました。
しかし福祉事業を行っている企業では、すべての従業員を「職員」と称しています。理由ははっきりしませんが、想像するに、福祉事業は行政からの委託事業であり、第3セクターの公益事業に類するので、専門的な職種が大半なので「職員」と呼ばれている。このように考えていました。
確かに奈良県内の社会福祉法人やNPO法人で障害福祉事業を行っている企業のすべてで従業員は、「職員」と呼ばれています。ただ民間企業では、一般的に「職員」は、専門的な業務を行う従業員を称しており、専門技能で雇用されており、その他の業務は行わないと考えられています。また「社員」は企業が行う業務すべてにおいて、必要があればその業務を担当する能力を有しているものとされています。 ですから組織を円滑に運営するためには、管理職と専門職が必要になるのですが、主に管理職は「社員」であり、専門職は「職員」が担当するとの認識が現状に会っているようです。
さて障害福祉の分野などですべての従業員を「職員」と称している企業の実態を調べてみると、共通しているのは、本来の意味での管理職が非常に少ない点です。なぜか福祉の技能を有して、長く勤務している方が往々にして管理職の名称を使っていることが多くみられます。現場で利用者の支援をすることが目的で福祉学科などの大学の出身者が、企業経営や組織論、人事管理、財務分析などの管理職の業務を担当させられている。ミスマッチの人員配置を見かけると、残念な気持ちになります。
これからの福祉分野では、的確な福祉サービス事業を行うためには、組織づくりが重要になります。組織づくりの基本は、ビジョンと役割と権限です。そのために専門的な業務を行う「職員」だけでなく、総合的な業務に対応することができる「社員」の配置が重要になってきます。「ぷろぼの」の事業運営もこの点を十分に留意して進めていきたいと考えています。